デビュー ページ13
健くんに告白されてからも
今まで通り連絡を取り合っていた
ほんの少し違うのは
私の健くんに対する意識
晶哉のことは完全には忘れられないけど
健くんと一緒になれば
こんなに苦しい思いはしなくてもいいんだろう
そう思い始めていた
そんな中
この春
晶哉と健くんが所属する
Aぇgroupのデビューが決まった
朝の情報番組など各方面で
Aぇgroupが取り上げられた
私はその日
モモと2人でレッスン室でダンスを楽しんでいた
モモ 『Aきいて！ようやくこの曲踊れるようになったの！』
「すごいじゃん！サビとか特に難しいのに」
私はドリンクを飲みながらLINEを開くと
LINE NEWSに
Aぇgroupデビュー！
の文字が表示されていた
恐る恐る記事を開くと
念願のデビュー！
そこにはデビューの記者会見で
肩を組む6人の写真が載っていた
左に健くんがいるのに
やっぱり見てしまうのは
右にいる晶哉で
晶哉がようやくデビューできたという事実に
モモが隣にいることも忘れて
子供のように馬鹿みたいに声をあげて泣いた
『うわーーーん』
モモ 『え？A？』
『まさやっデビューおめでとぅっ…』
普段人前で泣かないと決めてるけど
私を泣かせるのはいつだって晶哉なのだ
だからこそ
メンバーの前で泣くのは初めてだった
この日
初めてメンバーに晶哉のことを話した
モモは練習生の時から1番仲が良くて
親友であり家族のような存在だから
1番にモモに言えてよかったと思う
モモ 『Aがちゃんと佐野くんを振ってあげたから佐野くんが今こうしてデビューできたんだよ？』
モモ 『Aの選択は間違ってないし正しかったよ』
ちゃんと
私の理解者であって味方でいてくれるのだから
それにしても
晶哉を忘れたいのに
なかなか私の思い出から消えてくれない
ねえ、健くん
はやく晶哉を忘れさせてよ
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作者名：もなか | 作成日時：2023年11月26日 20時
