3*時間 ページ4
家に帰った途端に、玄関でスタンバっていた兄者さんに小さな箱を渡された。
『ありがとうございます』
「おう」
「なにそれ兄者ぁ」
「んー……」
確かに………なんだろうこれ?
ずっしりしてて怖い。
「誕生日プレゼント」
「えっ」
『あっ』
「おん」
誕生日プレゼント!?
そう言えば昨日誕生日……って中身見るの怖い。
高そうなプレゼントだったらどうしよう。
そんな事を考えていたら、隣の弟者君に肩口をガッと捕まれた。
「誕生日………??なにそれ………俺聞いてない………」
『あっいや、昨日なんだけどね、ほんとは』
「はーー!?昨日!!?」
嘘でしょなんでだよ!!!!と絶叫。
嘘じゃないよホントだよ。
俺のじゃがりこあげるから!来年は絶対祝うからね!!と言い残して弟者君はキッチンの方へ行った。本当にじゃがりこくれる気だ。
兄者さんは兄者さんでじっとみてくるし。
開けてってことかしら、
『あの、開けても』
「おん」
『ひぇ……』
変に緊張する。ぎこちなく青色のリボンを取って、箱を開けてみた。
『うぅぉあ……ッ』
金持ちとは末恐ろしや。
中にはシルバーバンドの時計が入っていた。
文字盤が青くて針が金色で……ヤバイ、色々と。
「どうよ」
『いやどうよと言われましても!?ありがとうございますごめんなさい高かったですよね!!』
こんな高価なもの頂けないですって、そう言うと兄者さんはフフンと笑った。そして自分の腕を俺に見せる。
「見ろよこれ、おそろい」
『おおおおそろい…………』
彼の手には俺の手元にあるのと同じく、文字盤が青の時計が付けてあった。
「貸して、俺がつけてあげる」
ことの急激さに呆然としている間に兄者さんに手をとられ、慣れた手つきで時計をつけられ始めた。
『あの、う』
「なに」
『お気持ちは嬉しいのですが、なんでこんないい時計……壊しちゃったりとか怖いですよ』
「いいんだよそんなん。だって誕生日でしょ」
俺の骨ばった指とは違う、がっしりとして太い指だ。血管が凄い、やっぱり筋トレしてるからかな。
付け終わると、兄者さんは俺の手首をするりと撫でた。
「うん、いいね」
『あ、りがとうございます』
いやほんと壊さないようにしなきゃ。
「ね、俺の方が凄いでしょ」
『えっ?』
彼の方を見ると、意味深ににやっと笑っただけだった。俺が箱を開けたときと同じような、子供みたいな笑顔で。
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湯葉 - 好きです!!楽しみにしています。更新頑張ってください!! (2021年11月17日 0時) (レス) @page18 id: 079642c981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タコ草 | 作成日時:2021年9月29日 21時