2-8 間一髪 ページ10
『あに、じゃ…』
撃たれる直前まで、目の前がスローモーションで見えた。
時間が経つのが遅く感じる。
あぁ、私も、
兄者に殺されてきた人みたいに、ぐちゃぐちゃの肉の塊の一員になるのかな。
いや、ハンドガンだからぐちゃぐちゃにはならないか。
そんな事を考えていた。
兄者の顔を見ると、目に涙を滲ませていた。
兄 「ダメ、だ…」
兄者の、引き金を引く指に力が入る。
その、次の瞬間だった。
乙 「待って!!」
パンっ!
おついちさんの声と銃声が鳴り響き、目の前が大きく傾いた。
『うわっ…!』
どうやら、おついちさんが私に体当たりして私を兄者が放った弾丸から守ったようだ。
でも、なんで…?
おついちさんはアイツらに注射を打たれたはずじや…。
床に体が叩き付けられたとたんに、足の怪我は痛みを取り戻した。
『ゔっ!』
メ 「大丈夫かっ、Aさん!」
メロやんさんが駆け寄ってきた。
『…だ、大丈夫…っ、それより、あの二人は!?』
痛みを堪え、兄者とおついちさんの方を見る。
兄者は弟者に取り押さえられ、おついちさんは廊下の床に倒れていた。
おついちさんの肩からは、真っ赤な血がどくどくと出ている。
『おついちさんっ!』
そう叫ぶと、おついちさんは弱々しく答えた。
乙 「あ、あぁ、Aちゃん…大丈夫だよ、僕は」
私のせいで、怪我をしてしまった。
私が馬鹿じゃなければ…。
乙 「心配しないでね、…っ」
私の心を見透かしたように、おついちさんは言った。
見ると、首に包帯をキツめにグルグルと巻いている。
弟 「おついちさん、その包帯って…」
乙 「あ、これね、メロやんが落としてったやつなんだけど、勝手に使っちゃった」
メ 「だから無かったのか、落としたの気づかなかったわ」
おついちさんを再び見る。
『あ…っ!』
片目だけが、兄者のように黒く、どす黒くなっていた。
驚いた私を見て、おついちさんは力なく笑った。
乙 「いやぁ、首に注射されたから、ね…っ、血を止めたら薬の巡りも遅くなるかなって…」
そう話してる間も、息が荒くなっていく。
どんどん、綺麗な緑色の、
もうひとつの目に黒が入っていく。
メ 「…Aさん」
『な、何…メロやんさ、ん』
メ 「兄者とおっつんは俺に任せて、弟者と先に二階の部屋にいってくれ」
『………え?』
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タコ草(プロフ) - やつはる。さん、ありがとうございます!勿体ないお言葉…!!励みになります( ^ω^) (2019年8月5日 20時) (レス) id: 6d6e493092 (このIDを非表示/違反報告)
やつはる。 - とても面白かったです!!!他の作品も楽しみにしてます。 (2019年8月5日 2時) (レス) id: f2d995bc4a (このIDを非表示/違反報告)
マーチ(プロフ) - タコ草(非常用別垢)さん» はい!がーんばりましょー!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ (2019年8月1日 19時) (レス) id: e1f37b1211 (このIDを非表示/違反報告)
タコ草(非常用別垢) - おおー!更新再開…!!ちょっくら行ってきます!お互い頑張りましょうね(^ ^) (2019年8月1日 19時) (レス) id: 51d9c94860 (このIDを非表示/違反報告)
マーチ(プロフ) - タコ草(非常用別垢)さん» えへへ、なんかこういうお話ってすんごい好きです(〃'▽'〃) 実は昨日から?更新再開したんでよかったら…という宣伝ですwタコ草さんが作ってるほかの作品も見てるので楽しみにしてまーす!これからもファイト!です!(*´ω`*) (2019年8月1日 18時) (レス) id: e1f37b1211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タコ草 | 作成日時:2019年3月18日 2時