あたしにケーキは必要ない. ② (ページ34)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:43,885 hit

# ほろ酔いの末にページ34

.

『__…さー、かなりコメントも読んだことやし虫さんも潰れてきたし、(笑)そろそろおしまいにしよっか！』

り「そうだね、もうやめとかないと放送事故が起こりそう(笑)」

に「終わろ終わろ！垢BANされる前に！(笑)」

虫「そーだよ、俺がまともに話せてる間に終わろう。じゃあねーまたなみんなー早く寝ろよー！」

『やばい虫さんがアホになった！(笑)じゃあねバイバイ！みんな見てくれてありがとー！りょうのチャンネルの子もありがとうね！』

り「こちらこそ！Aリスナーのみんなもありがとねー」

に「うあーやばい！虫さん！俺の首は美味しくないから！うわあああ！！(笑)」

『やばいやばいやばい！おしまーい！(笑)』

とん、と生放送を切るボタンを押すのとにっちの"痛ぇ！！"という声がほぼ同時に響く、深夜のリビング。さあ、このカオスな状況を片付けにかかるとしますか…。

『はいはいはい、虫さんにっちから離れてーお布団で寝ようねー？』

り「A、虫さんは俺が運ぶからこっち片付けてて貰ってもいい？動けそうならにっちも一緒に、」

に「動けるよ、噛み跡は残ったけど酔いは覚めたから(笑)」

り「オッケー、(笑)じゃあお願いね、2人とも」

おーい、というりょうの呼び掛けにだるそうに返事した虫さんが、ゆっくりと両手を天井に上げる。最早いつも通りなのかスムーズにりょうがその手を取ると、軽々と抱っこして寝室へと運ばれていった。

『大変そうやなぁ…』

に「ねー。…俺らも片付けますか。」

『そうやね、ちゃっちゃと終わらせましょ』

うん、と頷いたにっちの頬も薄く赤く染まっていて、改めて彼のお酒の弱さを少しだけ実感する。それでも全く酔っていない私を気遣って少し多めにグラスや缶を持ってくれるあたり、彼らしいんだけど。

『ごめん、缶だけ潰してあの袋に入れてくれへん？私食器洗うわ』

に「ん、了解」

控えめに鼻歌を歌うにっちと、黙々とお皿やグラスを洗う私。背中合わせのこの空間が、なんとなく心地よくて釣られるように鼻歌にハモってみる。

に「…A、歌上手いねぇ」

『そーお？まあ、上手い下手はわからんけど、歌は好きやからね』

普段あんまり言わないけど、なんとなく。本当になんとなく、呟いてみた。

『…にっち、？』

ぴたりと、鼻歌が止む。

『にっち… っ、！』

に「…A、」

次の瞬間、私は彼の体温に包まれた。

.