あたしにケーキは必要ない. ② (ページ28)

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# 有言実行、そしてページ28

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『なんで…？』

り「忘れた？前の撮影の時の虫さんの提案。」

『…あっ』

友「"スカートの長さ変えない代わりにAのこと独り占めできる"ってやつだよね」

り「そう、それ。それを実行しに来たの」

『え～よく覚えてるなぁ…』

自慢げに笑ったりょうが車から降りたかと思うと、こちら側へ回って助手席のドアを開ける。何てスムーズなんだろう…とぼーっとしていると、少し強い力で背中を叩かれた。

『いっ…た、』

ト「何ぼーっとしてんの、乗るんだよ。早く2人で"デート"、してきな」

『そんなんりょうのファンにぼこぼこにされるやん…』

り「されないから！(笑)…ほら、早く乗って？」

『あ、うん、』

違う違う。何で私はスムーズに彼の言葉に頷いてんの。そう思ってもやはり、りょうの子犬のような目で見つめられると何も断れなくなる私が勝ってしまい、大人しく助手席に乗り込んでしまった。

友「じゃーねA、靴ありがと。めっちゃ大事にするわ」

『うん、丁寧に履きつぶしてあげてね』

と「俺も、ケースありがとな。…りょう後は頼んだ」

り「了解、任せて」

ト「パーカー明日の撮影から着るわ、マジで」

『ふふ、動画楽しみにしてる』

"おしゃメン"の3人が順番にぴょこぴょこと窓の外から私に挨拶。…何この変な絵面、と思って笑っていると、何やら意地悪く笑ったトミーがぼそりと呟いた。

ト「…A連れ出せっつったの、りょうくんだから」

『…へ？』

衝撃の、ひとこと。

り「…ふふ、じゃあね3人とも。今日半日Aの面倒見てくれてありがと！」

ト「どーいたしましてー。じゃーなA、デート楽しんでな」

『まっ、え！？バイバイ！？』

いきまーす、なんてりょうの緩い声とともにゆっくりと車が発進する。いや、思考回路は全く追いついてないんだけど。まだ発進して欲しくないレベルなんですけど。

そんなことを考えて1人わたわたしていると、にやりという音が聞こえそうな程の笑みを浮かべたりょうがノールックで衝撃の一言を告げた。

り「…さ、楽しかった？俺がプロデュースしたお出かけは」

『…はぁ！？』

り「いやー流石にAが3人にプレゼント渡すのは予想外だったけどね。あ、言い忘れてたけどこのまま晩御飯行きまーす」

『えっ、え！？待ってよ、なあ！！』

私の叫びも虚しく、車は夜の闇の中を軽快に駆け抜けていった__。

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