あたしにケーキは必要ない. ② (ページ21)

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# 【まさかの】りょうが珍しく動揺する動画ですページ21

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「_バカ、A！何してんの！」

ぶわあ、っと一気に私が水面に浮かんだ瞬間、今までに無い程焦ったりょうの声が耳に飛び込んで来た。

『っふ、あははは！りょうそんな焦りなって！(笑)』

「馬鹿、焦るよ！ほら早く上がっておいで、風邪引く、__ 」

呆れたように声を掛けて来ていたりょうが動きを止める…というか、固まる。

これは、計画通り…かな？

『なーに？りょうどしたー？』

「ホントに馬鹿！ほら上がって！」

『はぁい…っわ、りょう、危ないから引っ張らんで、』

「馬鹿、うるさい、喋んな。…これ着て早く」

さっき腕を引っ張られ水から出た所なのに、いつの間にか私は脱いでいたりょうの衣装のブレザーを背中からかけられている。流石はイタリア人。

ですが、まだまだあえて馬鹿なふりを。

『えー別に寒くないで？』

「そういう問題じゃないの、…下着、透けてる」

りょうの耳打ちに、"今気づいたふり"をして自分の上半身を見てみると、___完全に、黒色が透けていた。白カッターなんてまるで役に立っていない、少しレーシーな質感の黒がそれはそれはしっかりと存在をアピールしていた。

『……りょう』

「…着てくんなきゃ喋らんよ」

未だに眉間に皺を寄せてこちらを見ないようにしている彼に、…そろそろ、可哀想だからネタバラシ。

『りょう、これ水着』

「…あっそ。…え、？」

『ドッキリ、大成功～！(笑)』

と私が拍手をすると、プールを取り囲んでいたスタッフさんが一斉に大歓声&大拍手。そう、このタチの悪いドッキリ、実はスタッフさんもりょう以外のメンバーも全員グルだったんです。(笑)

「え、なに、どういうこと？」

『えーとですね、"急にプールに飛び込んだAの下着らしきものが透けていたらりょうはどういうリアクションを取るのか！？"ドッキリです！(笑)』

「……はぁ～～ウッッッザ！そういうことか！ウゼェ～～！(笑)」

めっちゃ焦ったやん！と素直に落ち込むりょうを見て、ワラワラと外から集まってくる他のメンバー。

状況はともかくとして、この絵面がなんか1番しっくりくるなあ。やっぱり彼らは、誰か1人を取っても、みんなで集まっても、最高で最強な奴らなんだろうな。そうぼんやりと考えていると、膝をついたままのりょうが私を見上げて意地悪く笑った。

「…勿論この仕返しは覚悟しときなね、A？」

…暫く、お休み貰おうかな__。

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