あたしにケーキは必要ない. ② (ページ14)

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…なんだか、どこかで聞いたような返事だ。そう思ってともやんを見つめると、先程のてつやの顔がチラつく。あ、そうか、てつやも似たようなこと言ってたなぁ。

『…なんかさぁ、みんな私の高校時代に関わりたがるよな(笑)そんなに昔の私に会いたい？』

「会いたいよ。もし戻れるなら、距離とか関係なくマジで迎えに行く」

嘘だ。そう返したかったはずなのに、ともやんの真剣な目に射抜かれるとそんな言葉は封じ込められたみたいに出てこなくて。辛うじて出てきた本気？という言葉に、またともやんは本気、と大真面目に返してきた。

『…迎えにきて、何すんの』

「んー…そうだな、まず一緒にバンド組むのはマストでしょ？あとは先生脅してでも同じクラスの隣の席を3年間キープしたい。」

『そんなことしても学年違うから一緒のクラスって不可能やん？(笑)』

「そこはもしもの話だからアリにしてよ(笑)あーあとあれもやりたい、体育祭とかでお揃いのアクセサリーとか付けんの」

『ん…？まあいいと思うけど、』

ウキウキした様子で続けるともやんを見るとなんか悪い気がして止められないけど、…方向性、ずれてきてない？

「あとあれだよ、放課後は毎日俺が教室まで迎えに行くからそのままデート。休みの日も2人で色んなところ行くの、よくない？」

『いい、けど……なんか、…カップルみたいやん、そんなん』

私の言葉を聞いたともやんが、ぴたりと動きを止める。一重まぶたの真っ直ぐな瞳が、私を捉えて離さない。

「…だめ、？」

『いや…』

返事に困っている私を見ると、ともやんはいつものくしゃくしゃの笑顔を浮かべて私の頬を軽く指でなぞり、でもさ、と言葉を繋げる。

「体育祭とか、クラス分けとかはアレだけど…それ以外は、今からでも遅くないよな、？」

『…何、言って、』

「…Aの青春、俺にちょーだい」

ふわふわの、笑顔。
吸い込まれそうな瞳から目を逸らせなくて、何かはぐらかす言葉も返せなくて。ゆらゆら揺れる視線を彼に向けていると、ふ、と不意にともやんが小さく噴き出した。

「…つってな、嘘だよ」

『……は、？』

「うーそ。何、本気にした？(笑)」

『～っもう！あほ！』

「ごーめーんって！痛い痛い！(笑)」

ガバッと起き上がった彼と、さっきと変わらないように2人で笑いあった…けど。

彼の目に浮かぶ僅かな涙を、私は見ないふりをした。

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