あたしにケーキは必要ない. ② (ページ13)

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# 青春と恋模様_ともやんページ13

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『……いやいや、おかしいやん』

「何が」

『構図が』

「この構図のどこがおかしいんだよ」

『これはどう見てもおかしいやん…。』

おかしくねーし、って不機嫌そうに軽く頬を膨らますともやんは…私の膝の上で眠そうに私を見上げている。

『ねー、部室でこんなことしてたら怒られるよ？』

「うっせ、誰もこういう感じの撮影無かったんだろ？じゃあいいじゃん、需要と供給の一致だよ」

『一致してないわ私ともやんファンに殺される…』

いや、けらけら笑ってやがるけど本気だからな中村友哉。部室のベンチで膝枕とかマジで大炎上の予感しかしないのに、という私のわずかな緊張と不安な考えをよそに、膝の上のともやんは私のショートヘアの毛先をくるくると弄り始める。

「……なぁ、もし今学生の頃に戻れるなら、Aだったら何する？」

『…何よ急に』

「や、なんとなく。こういうテーマの方が対談っぽくていいかなって」

ふ、と微笑んだともやんの髪が、小さい窓から流れ込んできた温い風にさらされてふわふわと揺れる。ああ、彼なりに私の緊張を解そうと話題を振ってくれてるのか、と気づくのにはそうも時間はかからなかった。…同時に、膝枕を辞めるのが最短のルートだとも気がついたけども。

『んー…もう一回戻れるなら、私はもっと本気で音楽やるかな』

「もっと？今以上に？」

『うん。歌だけで食べていけるくらいに。…あーあとは、もっとまともな恋愛するかな(笑)』

「ふは、なんそれ。そっちのが面白いじゃん。(笑)」

『失礼な、人の恋愛を笑うな！(笑)まあ笑われるようなウブな恋愛してたけどさ、もうちょっと恋人らしいことしてもよかったなーって』

「へぇ…Aの口から出て来なさそうなワードがぽんぽん出てくんな」

『いやあんたが引き出してるんやん』

「間違いねぇ」

ゆらりと揺れた陽射しが寝転がったともやんを照らして、眩しそうに目を瞑る彼の小さな欠伸が部屋に零れる。

…彼は、どうなんだろう。青春時代に、後悔はないのかな。

『…ともやんは、高校時代に戻れるなら何すんの』

「……俺ぇ？」

きょとんとした間抜けな顔で私を見上げた彼は、すぐに考え込むような様子でわしゃわしゃと自分の髪を掻きまわす。そんなに悩むことかなあ、なんてぼんやり考えていると、じっとこちらを見つめるともやんと目が合った。

「……俺は、Aを迎えに行く」

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