episode20' ページ20
「はぁ、はぁ……」
薮先生は、まだいない。
なんなの？気持ち弄んだの？
『わ〜〜〜、負けたわ……』
愛しい愛しい、彼の声。
「ふふ、勝っちゃいました。」
弄ばれてなくてよかった。
『Aちゃん、好きです。』
………嘘。
「…っ、生徒は、恋愛対象に
ならないんじゃないんですか…」
『だーかーらー……、
なるって言ったらやばいし。
それにもう、学校出てるでしょ？
……ずっと我慢してたんだから、言わせてよ。
A、好きだよ。好きだ。』
わたしも、わたしも、
言いたいのに、涙がポロポロ出てきて
視界が遮られて。
薮先生の匂いに包まれてる…
わたし、薮先生に抱きしめられてるんだ。
「せ、先生…？」
『ね、Aちゃん、
付き合ってくれませんか？』
「……はいっ！！好きです！！」
わたしたちは、付き合うことになった。
見ればわかるって？ふふ、だよね。
『あー超幸せだ。』
なんてポツンと呟くから。
「なんだか先生のこと、
歳上に思えなくなりました。かわいくて。」
『先生じゃなくて…
宏太って呼んでよ？』
……参りました、カッコイイです。
「…………宏太、ありがとう」
この声は届いたか分からないけど、
ぎゅっと握られた手は離れることなく、
これからも幸せでありますように。
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作者名：とーこ。 | 作成日時：2020年2月24日 14時
