立ち上がる #1

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「川島さん、そろそろ車椅子に移る練習を始めましょう。まずは、ベッドから移動できるようにしましょうね」


ついに寝たきり生活が終わり、離床に向かい始めた。カテーテルや点滴も外れて、ついに、日常へ戻るための訓練が始まる。


「ブレーキ必ず確認してくださいね」


リハビリを始めてから、自分に合う形の車椅子をオーダーすることになっているので、まずは病院のものを借りて練習する。もともと腕の力はあるから、ベッドからの移乗は問題なくクリアした。


「背中の痛みはどうですか？」

「結構痛いです」

「今日もマッサージしましょうね。まず、お手洗い行ってみましょう」


排泄の機能は、比較的残っていることが分かって、少し安心した。トイレに自分で行けるようになって、気持ちもまた上向きになる。


「疲れました？」

「いえ、そうでもないです」

「じゃあ、リハビリセンター行ってみましょうか」


リハビリセンターに行って、中を見学して、これからの説明を受ける。電気も使って背中をマッサージしてもらうと、少し痛みが落ち着いた。


「ありがとうございました」

「明日から、こっちで午前中リハビリしましょうね。お迎えに行きますね」

「よろしくお願いします」


全然大丈夫だ、と思っていたけど、ベッドに戻るともう身体に力が入らなくて、お昼ご飯までは眠ってしまうことにした。



・・・



「今日はリハビリお休みにしましょう」


朝起きたらすごく頭がぼんやりしていた。ぼーっとしていると看護師さんが朝の計測に来てくれて、熱があると言われた。


「熱、、」

「先生に確認してみますね。辛いところ、ありますか？」

「ぼんやりしてて、、ちょっと、気持ち悪いです」

「わかりました、伝えておきますね。一緒にお手洗いだけ行ってしまいましょうか」


まだリハビリも進んでないし、熱があると危ないからと言って、看護師さんがトイレに付き添ってくれる。何とか支度を終えて戻ると、ぐるぐると眩暈がして、呼吸が乱れる。


「川島さん、ゆっくり呼吸して、いっぱい息吐きましょう」


過呼吸だなって冷静に頭は考えてるけど、呼吸のコントロールが全然できなくて、ポロポロと涙が溢れる。


「ごめ、なさ、っ、」


ようやく呼吸が落ち着く頃には体力を使い果たしてしまって、朝ごはんは食べることができなかった。

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