立ち上がる #1

・ ページ29

・




室内用の車椅子に乗るのを手伝って、如恵留の寝室についていく。そして如恵留は、ため息をつきながら紙パンツを用意した。


「ごめんね、しめ」

「なんで謝るの」

「自分のこと、できなくて」

「そんなこと、気にしなくていいじゃん。ってかいつもはできてるでしょ。俺だって体調悪い時はできないよ」


気にしないで、と言っても無理なことは分かってる。だから、今は普通に接して、如恵留が話したい時に話を聞いてあげればいい。こっちが気を使いすぎても、逆に良くないと思うから。


「そうだ、如恵留何か食べられそう？俺は出前取るけど、如恵留も何か食べた方がいいよね」

「んー、、そうだね、、なんか、身体にいいものがいいなぁ」

「まつくおすすめのオーガニックは？」

「あ、そうだね、あそこのスープがいいなぁ」

「頼んどくね。今日は俺も健康的にしよう」


俺が払うという如恵留を無視して、注文を終える。そしてちょうどお馴染みのお風呂ができましたコールが聞こえたから、如恵留をお風呂に送る。


「恥ずかしいとか、思わなくていいからね。裸なんて何回も見てるんだから」

「うん、、そうだよね、ありがとう」


フラフラしてる如恵留の着替えを手伝って、洗い場の椅子に座らせる。


「いつも1人でやってるの？」

「あ、うん。元気な時は、全然余裕なの」

「そっか、すごいなぁ。洗い終わったら呼んでね」

「ありがとう」


思ったよりすぐにお呼びがかかって、バスボードや浴槽内のステップを確認する。これは、サポートする人用にリハビリセンターの人がくれた冊子を見て勉強した。


「椅子寄せるね」


シャワーチェアをギリギリまで寄せて、如恵留はゆっくり腕の力でバスボードに移り、湯船に入る。


「大丈夫？」

「うん、、ありがとう、、実は、この家でお風呂入ったの初めて」

「そうなんだ、言ってくれれば、いつでも手伝うよ」


ゆっくりしてね、と言って一旦風呂場を出る。その間に頼んでいた夕食が届いて、少ししてからさっきの逆手順で如恵留の支度を手伝った。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す