お得意様。6【yuri.C】

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顧問の集合の合図で、


それぞれ練習を止め、


グラウンドの中央へ集まる…



知念くんの斜め前には桜井さんの姿が確認できる。



モヤモヤ…



と、



桜井さんの足元がふらり、ふらりとグラつき始めて…



知念『え、

桜井さん？

ちょ…大丈夫？』



その瞬間の出来事は、


ほんの一瞬だったはずなのに…


スローモーションのように見えて。



倒れそうになった桜井さんを…咄嗟に抱きとめた知念くん。




顧問「…熱中症か？

おい、知念！

悪いが保健室に連れてってやってくれ！」




知念『はい！

桜井さん？

ちょっと…我慢して。』



ふわりっ、


知念くんの腕に持ち上げられた桜井さんの体。


緊急事態で…仕方の無い事だって頭ではわかってるのに、


まるで…桜井さんに知念くんを取られたかのような、


脱力感が襲って来て。


ただ、


遠くからその光景を…見ている事しか出来なかった。

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