旅人の少女は夕陽の街で (ページ10)

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【八夕目　通りと自然のいつもの場所】ページ10

今日もいろいろと過ごしたが、朝にハザマと出会った以外は交流はない。

だが、図書館で感情に関する本と、例の事件についての記事を読んだ。事件に関しては新しい発見はないが、感情についてはある程度学べたつもりだ。

そうして日が暮れれば

何時もの酒場へ足を運び、アーサー達に報告するのが

私の中での一日の終わりだ。

パトリッツァ「リア!いらっしゃい。お酒、今日は飲みすぎないようにね!」

『...善処する。』

カウンターにはいつもの二人が座っていた。

アーサー「よおリア!今日はどうだった?」

『...ハザマって奴と知り合いになった。仕事を手伝う約束もしたな。』

ホルス「ハザマ...ですか。」

アーサー「彼奴かー!」

『知り合い...なのか。この通りにはお前たちの知り合いが随分と多いな。』

アーサー「まあ、俺は人と話すのが好きだからなー!」

といいながら酒を飲み干す彼を横目に、私も一杯酒を頼んだ。今日のはういすきー、というらしい。

ホルス「リアさんは、感情については何か収穫はありましたか?」

リア「リアでいい。感情については本で学んでみたが...実際に体験しなければ思い出すのは難しいかもしれないな。」

そういい、目の前の酒を一口で飲み干せば、強い酒なのだろう。
強烈な感覚だったので、今日はこれだけにした。

そのあとは三人で他愛のない話しをして、私は先に帰ることにした。

明日は獣の皮を加工して、自分用の寝床を作るつもりだ。
この通りに通うのはいいが、なんせ朝と夜は冷え込む。

この辺りに留まるには少しでも暖かいほうがいい。

郊外まで来れば、林が多くなる。

『私の愛しい愛しい狩るものよ、私の側へ来おくれ。』

そう呟けば白い狼が私の側に現れた。

『...迎えに来てくれてありがとう。...行こうか。』

私は狼と共に歩く。暫くすれば、いつも寝ている泉の側に着いた。そこには多くの狼たちが待っていた。

『...待たせたな。じゃあ、寝ようか。』

木の下に座れば、狼たちがすり寄ってくる。

嗚呼、愛しき我が森の子達。

どうか、今は無い深く大きな森の夢を見て――――。

私は今日も

獣と共に眠る。