妹、溺愛される

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西川遥輝side

出場ゲームからロッカーに戻る途中、色々な選手の子どもさんからサインやら抱っこやらを強請られて、子ども大好きから相手してひと段落してサロンの前を通った時、優奈がサロンの中の優奈用の席に1人ポツンと座る姿が見えた。



そっと近づいてみると真っ直ぐ何かを見てる。



その視線を辿ると宮西さんや増井さんがお子さんを抱きながら楽しそうに話していた。




優奈の表情は悲しみなのか寂しさなのか分からんけどこっちが切なくなるもんやったから、耐え切れず声を掛けた。



「優奈ー？大丈夫かー？」



いきなり声を掛けたからビックリしたみたいやったけど、さっきまでの表情を一変させてニコニコしてこっちを向いた。




『はるくん！おちごとおわったの？』




あまりに何事もなかったかのように振る舞うから、こっちが吃ってしまった。



「え、いや、まだ残ってるけど…。優奈はここで何してたん？雄也は？」



『にぃに、げーむ。まいごなった、らめやから、ここでにぃにまってる』



「そーやったんかー。1人で寂しくないか？」



『らいじょーぶー(ニコッ)。みんないるから、らいじょーぶなの』



今日は皆居ても相手してもらわれへんやろ。その寂しさを3歳の子の心でどうやって消化して“大丈夫”ってゆう言葉と表情に変えるんやろう？



想像しただけで苦しみに押し潰されそうで泣きたくなった。



優奈の寂しさが少しでも軽減されるように一緒居ようと決めた瞬間、遠くから俺を呼ぶスタッフの声が聞こえた。


どうしようか迷っていると、

『はるくん、よんでりゅよ。ゆうな、らいじょーぶやから。いってらいっちゃい(ニコッ)』



ここで優奈といるために仕事に穴を開けるとは優奈にも雄也にも責任感じさせてしまうから、さっさと行って早く用事を終わらせることにした。


「すぐに戻ってくるから待っててな！」



「あーい！」

優奈を独りぼっちにしないために、急いで呼ばれた方向かった。

(続く)

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