37.一人になんかなれると思うなよ ページ37
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和也「そこ違う」
和也「だからなんでそうなるんだよ」
和也「電話に出ろ。早く。死ぬほど詫びろ」
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久しぶりの二宮さんの鬼指導は、やっぱり鬼だった。
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ブルーライト用のメガネをかけて、私の隣に座ってビシバシ指導してくれる。
「アホか」「おせぇ」「ほら早くしろや」「バカ」
色々言われるけど、心がこれだ、これが仕事だって嬉しい叫びを上げている。
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空いた穴が、塞がってゆく。
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言われた通りに早く手を動かして、死ぬほど詫びて。
コピー機に向かおうとすると、手で制御されて二宮さんがわざわざ立ち上がってコピー機に向かってくれる。
それが私の足を労ってくれているのだと気づいた時は、もう本当に胸が熱くて死んでしまいそうだった。
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和也「自惚れんなよ」
「…え？」
和也「お前は独りで泣けるほど強くない」
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周り見ろ、って言われて手を一旦止めて周りを見る。
…みる。
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和也「みんなお前のために頑張ってんだよ。自分のミスでもないのに」
「……」
和也「企画はチーム戦。独りで泣けると思うなよ」
「……」
和也「泣くときは全員一緒に泣くんだよ」
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和也「一人で抱え込もうとすんな。生意気」
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ふん、って鼻で笑って「早く手ぇ動かす！」って怒鳴られて慌てて手を動かす。
泣きそうだった。でも泣く暇なんかなかった。
慌ただしく動き回る世界。働く。働く。仕事を、する。
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鬼なんかじゃない。この人は、私のことを一番に考えてくれている。
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和也「だからチゲェよ。そこ、訂正」
「はい…！」
和也「あと、ココな。忘れんなよ」
「はい！」
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顎に手を置いて、画面を指差す二宮さんの横顔を盗み見しては頑張る！と気合いを入れる。
肩の力を抜いた時。
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潤「ニノ。翔さん」
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神妙な顔をして、松本さんがやって来た。
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和也「やっと見つかった？」
潤「…あぁ」
和也「ありがとね、まっちゃん」
松下「いえ！」
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二宮さんがメガネを外して、ふんわり微笑みながらその場で立ち上がる。
何事？って目を見張れば
松本さんの後ろから見覚えのある顔が二人。
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