20.自分がつくづく嫌になる ページ20
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花織「言っておくけど、二宮はアンタらみたいな小賢しいことする女がいっっちばん嫌いよ」
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脇腹に両手をおいて、橘さんと木村さんに面と向かってそう言う望月さんの背中は
華奢なのに、ものすごく広くて
ふわりと香ったシャボンの匂いが本当に優しくて
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橘「も、望月さ…」
花織「カッコ悪い。あーカッコ悪い。先輩がど新人を脅迫？しかも一人に対して二人って。度胸も何もないのね」
木村「…、」
花織「こんなつまんないことしてる暇があるんなら少しでも女でも仕事の腕でも磨けば？そうしたら二宮に振り向いてもらえるかもよ？」
橘「…」
花織「ま、性格ねじ曲がってる時点で恋愛対象外だろうけど」
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ふん、って鼻で笑った望月さんをみて橘さんと木村さんはバタバタとお手洗いを出て行って
ほっと胸を撫で下ろしながら、目の前に立ちはだかってくれてる望月さんは
ふう、と息を吐いて私の方を振り向く。
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花織「大変だったわね。大丈夫？」
「…あ、あのありがとうございます」
花織「いーえ。あなたもちゃんと言い返さなきゃダメよ。ああいう時は」
「…はい」
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うん。ならよし。
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ニッコリ微笑んでくれた望月さんはどこからどうみても美人さんで
プラスアルファであんなにカッコよく、ヒーローみたいに助けてくれるなんて
私が男だったら確実に好きになってる。
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うう、って弱虫で情けない自分に嫌気がさして
さっきまであんなに幸せだったのにって思いながらも
望月さんが「じゃ、気をつけるのよ」って颯爽とお手洗いから消えていく姿さえも羨んでしまう。
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…ああいう大人の女の人になりたい。
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がく、と手洗い場に両手をついて鏡の中に映る自分を見つめる。
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二宮さんに叱られて、ピーピー泣いて
身長もそこまで高くもなく、低くもなく。ああいう場面でも何一つ言い返せなくて
まだまだ子供。だから二宮さんにも若干の子供扱いされるんだ…。
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はぁ…、って重たすぎる溜息を吐きながら結局リップを塗り直すこともせずお手洗いを出る。
どういう顔で二宮さんと会おう…。
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そう悩んだ矢先。
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潤「栗巻！」
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私のことを呼ぶ声がした。
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