17.風評 ページ17
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目一杯あったうどんは、見る見るうちに姿を消し。
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智「っはー、美味かったー！午後も頑張れるー！」
「お早いですね…！」
智「ニノに殺されちゃうからね」
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うははって笑って「ありがとね〜」ってお盆を持って消えて行く大野さん。
掴めない。そんなに話したこと、ないけど。なんだか姿が上手く掴めない。
悪い人じゃないんだろうけど。
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というかニノに殺されちゃう、とか言ってたけどニノに殺されちゃうのは私の方じゃないか？
うぬぬ…と声を漏らして眉間にしわを寄せる。
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そんな時。ふと隣のテーブルの女子社員が「きゃっ！」と黄色い声を挙げる。
何事だ、とそっちを振り向くと女子社員の視線の向こうには気怠そうに歩いてキョロキョロと辺りを見渡す二宮さん。
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一課の二宮さんじゃん！食堂来るなんて珍しくない？
めっちゃラッキー！相変わらずかっこいいよね。
あれで仕事できて、優しいとか完璧すぎない？今彼女いないっぽいよね？
前は受付嬢の子と付き合ってたけど別れたって泣いてたじゃん、あの子。
そうだったー！今フリーだよね、狙うなら今じゃない？
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ひそひそ話が、もうひそひそレベルじゃなくなってる。
やっぱり外面はいいんだよなぁ、あの人。ってはぁと溜息を吐いたのと同時
二宮さんが私を見つけたらしく、スタスタと迷いなくこっちにやって来る。
それと比例して、隣の女子社員たちが「やば！こっち来る！」なんて騒ぎ出す。
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勘弁して……。
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和也「分かりづらい」
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私を見下ろして、発した一言目。
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「う、すみません…。端っこの方がいいかなと思いまして」
和也「ったく…、でも窓際取ったのは褒めてやるよ」
「ホントですか！」
和也「(笑)」
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うそ！初めて褒められた！！！
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嬉しい嬉しい嬉しい！！やっと褒められた！！
キラキラした目、してるんだろうなって思いながらすっごく嬉しくて二宮さんを見つめると
二宮さんが少し困ったように笑う。
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和也「犬みたい」
「ありがとうございます！！」
和也「褒めてねぇよ(笑)」
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ほら、行くよ。
そう言われて、私はまるで犬のように二宮さんの後を追いかけた。
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