15.「ウチのなんで」。 ページ15
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非常に気まずい。
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和也「ど新人が噛み付くとか教育がなってないんじゃねぇの？」
花織「何言ってんのよ、アンタだって入社してすぐ大野さんに噛み付いてたじゃない」
和也「あれは噛み付いたんじゃない、懐いたの」
花織「よく言うわよ、翔を味方にして散々振り回したくせに」
和也「うるっせぇなぁ…」
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これだから女は困んだよ、って二宮さんが呟けば
男女差別しないでもらえる？って怒る望月さん。
すごい。二宮さんに対等に話せてる人を初めて見た。
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少し惚れ惚れと望月さんを見つめていれば、二宮さんが缶コーヒーに残っていた液体を一気に喉に流し込んで
ことん、とゴミ捨て場に投げ捨てる。
ふわん、と隣から香るコーヒーの匂い。
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和也「まあいいや。とにかく広樹クンにはよく言っといてよ」
「雅紀です、二宮さん」
和也「え？あー…、それそれ。雅紀クン」
花織「ハイハイ。一応、言っておくわ」
和也「あ。あと」
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和也「ウチのに変な仕事押し付けんなよ」
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グイっと引っ張られて、頭を抱えこまれる。
へ、って視界が暗くなって頭上から聞こえてきた「ウチの」。
二宮さんの煙草の香りと、香水の香りと、コーヒーの香りが入り混じって眩暈がする。
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花織「なんのこと？」
和也「お前だろ、新人が処理しきれないような無理難題、コイツに押し付けて帰ったの」
花織「…やっぱり、アンタが手伝ったのね」
和也「コイツの担当は俺なんでね」
花織「どうりでなんのミスもないと思った。ミスどころか完璧だったもの」
和也「俺への嫌がらせかなんかしらねぇけど、そーいうのもうやめろよ」
「い゛！？痛！」
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そのまま耳を掴まれて、引っ張られる。
さすがにこれは痛い。必死に抵抗するとすぐに離れる手。
おかげさまで望月さんの顔は見なくて済んだけど、絶対後ろで怖い顔してる。って思ったら振り向けなかった。
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和也「メシ食いに行くよ、メシ」
「え、もうお昼ですか？」
和也「誰かさんが資料室で油売ってる間にもう昼になったんだよ」
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ギロリと睨まれて、すみません、って溢れる声。
なんでこんな睨まれなきゃならないんだ…。
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