君に星が降る【vnl】 ページ4
「ばぁーに」
「んー?」
「お願いがあるのですが」
「なにぃ」
「彼氏のフリしてくんない?」
「……はい?」
幼馴染のばにの家で仕事の愚痴と共にお酒を持ってきて飲む金曜の夜。というのも先日家の近くにばにが引っ越してきたのだ。
「実は少し前に会社の先輩に告白されまして、」
「うん」
「お断りしたんだけどしつこくてさ。彼氏いるって言っても全然信じてくれないの。まぁ嘘だからしょうがないかもではあるんだけどさ、この目で見るまで信じないとか言い出したの」
「やばぁ」
「でしょお?…で、幼馴染のバニラくんの出番というわけですよ」
びしっとばにを指させば、俺?なんてきょとんとした顔、しかしみるみる渋るような表情。でも負けない。駄目?と上目遣いで見つめてみる。知ってるんだから、ばにがこういうのに弱いこと。
「……うーん、まぁ別にいいけどさぁ」
「ほんと?!言ったからね!約束!!」
「…やっぱ嫌かも」
「残念、もう決定でーす」
うげぇなんて言いながらばには眠たいのか目を擦っていた。なんだかんだやっぱり私に甘いよね、と思いながらも逆張りされても困るので口には出さなかった。
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"会社の近く着いたから終わったら連絡して"
20分程前に送られてきたLINEに今終わった!と送るとすぐに既読がつきOKというスタンプがきた。よし、これであとはあのしつこい先輩を、
「Aちゃん、仕事もう終わり?飲みに行かない?」
探すまでもなくきっつい香水の匂いを振りまきながら私の前に現れた。ほんとよくこの匂いで営業先の人からクレームが出ないものだ。
「すみません、私用事あるので飲みに行くのはちょっと」
「はいはい、嘘はいいから」
「嘘じゃないですよ。というか実は今日彼氏が迎えに来てくれるんですよね」
彼氏、という部分を強調して言う。
「ははっ、そんなこと言って彼氏いないの知ってるからね?しょうがないなぁ」
「いや、ほんとにいるんですって」
「イマジナリー彼氏も程々にね。それに俺が本物の彼氏になってあげるって何回も言ってるじゃん。照れ屋だなぁ」
駄目だ、いつものことだが話が通じなさすぎる。またやってるよ、と同じ部署の人たちからは哀れみの目。けれど助けてはくれないのだから薄情なものだ。でもいいの、今日で解決させるんだから。
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たす(プロフ) - ?さん» 表現の仕方が素敵だなんてとっっっても嬉しいです〜😭ありがとうございます🫶🫶のろのろ更新ではありますが頑張ります〜! (5月1日 18時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - たす様の書く文章の表現の仕方がとても素敵で、毎回楽しく読ませていただいています🫶🏻🫶🏻これからもお体に気を付けて更新頑張ってください〜! (4月30日 19時) (レス) id: f6c1f6723a (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» 年下だからこその真っ直ぐで押せ押せな感じを書きたくて作った話なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!何度も読み返していただけてるのもほんと嬉しい限りです😭😭こちらこそいつもありがとうございます…! (3月24日 23時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
さんかく - いけいけごーごーのdrmさんとても新鮮で鼻血でそうです(年下好き)、幾度となく読み返してるこの短編にまた新しいお話が増えて純粋に嬉しいです!今回のお話も何回も読んで噛み砕いてにやにやしたいと思います、いつもありがとうございます☺️ (3月24日 19時) (レス) @page35 id: 035bc710b7 (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» そんな風に言って頂けるなんて遅刻だろうとお誕生日話更新してよかったです…!こちらこそいつもコメントに救われてます!!今回はちょっぴり幼さの残る夢主ちゃんにしてみました😊嬉しいです、ありがとうございます! (11月8日 23時) (レス) @page27 id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たす | 作成日時:2023年6月18日 21時