TOY BOX！

結局の所、愚問愚答【drm】 ページ24

　
　
　
　
明日はだるちゃん誕生日でしょーが！、そんな言葉と共に家に押しかけた。まではよかったが、コラボ配信の予定があるようで先に風呂でも入ってて、と困ったように笑われた。失敗。


だるちゃんと幼なじみという関係から恋人へと変化したのはつい3ヶ月前のことだった。恋人になってはじめて迎える彼の誕生日、つい気持ちが先走ってしまった。


そんな私だが、地元に居たころは別に彼を異性として意識したことなどなかった。きっかけはそう、上京してきて久しぶりに会ったときだ。


知り合いも居ない東京という土地へ行く私を心配した親が、だるちゃんのお母さん伝いに引越の手伝いをお願いしたのだ。

　
綺麗になったな、なんて言う数年ぶりに会った知っているようで知らない人みたいな幼なじみ。そんな言葉につい胸が高鳴った私を単純すぎ、と地元の友人は笑ったけれど。


なんだかんだたまに会うようになって、それから私の知らない東京でのだるちゃんの姿になぜだか心が苦しくなった。それが恋なのだと、自覚すればそこからはもう早くて。幼なじみ以上の関係が欲しくなった。そんな私の気持ちにだるちゃんは気づいていただろう。


そして幼なじみではなく好きな人、としてだるちゃんと接するうちにだるちゃんが私に同じような気持ちを抱いていることにも気づいた。


自意識過剰じゃないかって？そんなわけない。だって上京するまではずっと一緒だったのだから。お互いがお互いの気持ちを察するのに時間がかかるわけがなかったんだ。



「付き合わん？」

「…え？」



告白は、はっきり言ってムードのかけらもなかった。ゲームをしながらだらだらとだるちゃんの家で過ごしていた時の一幕。あまりに自然に言うものだからつい反応が遅れた。



「やから付き合ってみやん？」

「えーっと？……どこに？」

「分かりやすく誤魔化さんといてや」

「そ、れは恋人になろう的な意味で？」

「そ」

「…本気？」

「嫌？」

「嫌、ではない、けど」

「んふふ、じゃあいいやん」



そう機嫌良さそうにだるちゃんは笑って、またゲームを再開する。私はそうかも、なんて頬に熱が集まるのを隠すように顔をそらして返事をしたのを覚えている。
　
　
　
　
　

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