TOY BOX！

時計の針は止まらない【lrn】 ページ20

　
　
　
　
※アクシア視点からです。



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「喧嘩した」



がやがやと煩い店内。突然今日飲みに行こう、なんて誘われて嫌な予感がしたものの来てみればまぁ不機嫌そうなAちゃんがいた。俺がついた頃にはもう既に何杯か飲んでいたみたいだった。


そんなふくれっ面をしながらビールを煽る彼女は都市警備部隊の1人であり、ローレンの彼女でもある。



「ん？」

「だーから！ローレンと喧嘩したの！」



がん！っと勢いよくジョッキを机に叩きつける。とはいえ煩い店内ではそんな音は些細な物音程度であろう。Aちゃんは近くを通った店員さんを呼び止め、追加でビールを頼む。


うーん、喧嘩、喧嘩、……痴話喧嘩ね。


ローレンが余計な一言を言ったり、地雷を踏んだりなんかしてAちゃんが怒って、それでローレンが謝り倒すって流れは俺が知っている中でも何回もある。むしろその度に巻き込まれている俺が可哀想まであるんだから。



「でもどうせローレンが謝ってきたらも〜〜〜〜〜って言いながらAちゃん許すんでしょ？」

「違うんだって！」

「何が違うの、いつものことでしょうが」

「…………その、私が怒らせた、っぽい」

「うん？」



今回はどうやら珍しいパターンみたいだ。先程の勢いとは一変して、Aちゃんは箸で気まずそうに突き出しで出された塩キャベツをつまんだ。でも間違ってなかったもん、なんてごにょごにょと言ってはいるが。


なんでも話を聞けば、ローレンを庇って怪我をしたらしい。そしてそのことで言い合いになったそうな。きっと良くないこと言っちゃったんだろうな、と思っていれば案の定、"でも犯人捕まえられたんだから良いじゃん"と言ったらしい。


焦りと心配、不甲斐なさやらでぐちゃぐちゃだったであろう上にその言葉、それも愛してやまない女の子に。少しばかりローレンに同情する。
　
　
　
　
　

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