・ ページ19
「…あれ、」
首が痛むなと動かせばいつの間にかだるまの肩で寝ていたようで、いててと言いながら首を反対側へと曲げる。
「あ、起きたん?わりと寝てたな」
「肩ごめん、動けなかったよね」
「全然」
スマホをローテーブルに置いて首を回すだるま。んー、と伸びをしてふと窓の外を見ればもうすっかり日が落ちていた。
「あれ、もう夜?私そんなに寝てた?」
「ん?まぁぐっすり寝てたな。疲れてたんちゃう」
「そうかも、ほんとごめん。そろそろ帰るね」
「は?」
「へ?」
「帰んの?」
「え、うん」
「泊まってけばいいやん」
むしろなんで泊まっていかんの?とだるまの頭の上には、はてなマークが浮かんでいた。
「あ、いや、迷惑かなって」
「は?なんで?」
「っ、なんでって、来たのも突然だったし…」
だるまはきっとそんなつもりはないんだろうけど、なんだか責められているような気分になって語尾がどんどん小さくなってしまう。自然と視線も下へと落ちていく。
「A」
「…」
「おい、こっち向け」
「へ」
ぐい、と両頬をつかまれだるまと目が合う。
「まず第一に、彼女が会いに来てくれて迷惑やと思う男なんておらんからな」
「…」
「返事」
「う、うん」
「で、お前は遠慮しすぎ。もっとずかずかきてくれて全然ええんよ?むしろ嬉しい」
「でも、」
「でもやない。今日だってなんで連絡してきたん?理由あったんちゃうん?」
「そ、れは」
「それは?」
「…」
「A?」
「…………会いたかったんだもん」
つかまれている頬が熱い。言わせないでよ、恥ずかしい。だるまを見ればそれはそれは満足げに笑っていて、なんだかたまらなくなった。
「な、もっとなんでも言ってや。俺、Aのこと甘やかしたくて仕方ないねん」
「…なにそれ」
「それだけ惚れてるってこと」
だるまは変わらず楽しそうに笑っている。でもその瞳はびっくりするくらい甘くて、その甘さに身動きが取れなくなってしまいそうだった。
私、めちゃめちゃ愛されてるじゃん、なんて今更ながら気づいてまた頬が熱くなった。
甘えの手ほどき
593人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たす(プロフ) - ?さん» 表現の仕方が素敵だなんてとっっっても嬉しいです〜😭ありがとうございます🫶🫶のろのろ更新ではありますが頑張ります〜! (5月1日 18時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - たす様の書く文章の表現の仕方がとても素敵で、毎回楽しく読ませていただいています🫶🏻🫶🏻これからもお体に気を付けて更新頑張ってください〜! (4月30日 19時) (レス) id: f6c1f6723a (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» 年下だからこその真っ直ぐで押せ押せな感じを書きたくて作った話なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!何度も読み返していただけてるのもほんと嬉しい限りです😭😭こちらこそいつもありがとうございます…! (3月24日 23時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
さんかく - いけいけごーごーのdrmさんとても新鮮で鼻血でそうです(年下好き)、幾度となく読み返してるこの短編にまた新しいお話が増えて純粋に嬉しいです!今回のお話も何回も読んで噛み砕いてにやにやしたいと思います、いつもありがとうございます☺️ (3月24日 19時) (レス) @page35 id: 035bc710b7 (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» そんな風に言って頂けるなんて遅刻だろうとお誕生日話更新してよかったです…!こちらこそいつもコメントに救われてます!!今回はちょっぴり幼さの残る夢主ちゃんにしてみました😊嬉しいです、ありがとうございます! (11月8日 23時) (レス) @page27 id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たす | 作成日時:2023年6月18日 21時