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「やっほ」
「おん、いらっしゃい」
眠そうに目を擦りながら玄関で出迎えてくれただるま。
「寝起きじゃん」
「腹減って起きた」
「そんなことだろうと思った」
洗面台で手洗いうがいをし、リビングへと入ればがちゃがちゃと食べていたであろうものの空になった容器を片付けごみ袋へとまとめていた。
「ゴミ捨ててくるから適当にしてて」
そう言ってだるまは両手で計4袋のごみ袋を持って廊下へと消えていった。
汚いと評判の彼の家だが、私が来るときは気を遣ってくれているのか案外綺麗な状態だ。今日は流石に急だったからかいつもより散らかってはいるが。
閉まり切っていたカーテンを開ければギラギラと照りつけるような太陽の光が差し込む。外はうだるような暑さだというのにクーラーの効いたこの部屋では、不思議なことに天気が良くて気持ち良いなとすら思えてしまう。
朝からでかけていたせいもあってか、なんだか眠たくなってきた。
「……別によかったのになぁ」
「なにが?」
ソファに三角座りでうとうととしていればいつの間にかだるまが帰ってきていた。
「んー?毎回部屋片付けてくれなくたってそのままで良いのに、と思ってさ」
「なんで?綺麗な方がいいやろ?」
「そりゃそうだけどさぁ。だるま部屋片付けるの苦手じゃん」
「それは否定せんけど」
「なのに私が来る時は絶対に部屋片付けるじゃん」
「そら多少はな」
「だから、まぁ、そういうこと」
「んん?全くわからんのやけど」
だろうね、と思いながら隣に座っただるまの肩にもたれかかる。
「………片付けんの面倒だな来んなよってなっちゃったら嫌だなってはなし〜」
左肩から伝わる体温がなんだか心地よくて目を瞑る。ミンミンミンと外では蝉が存在を主張するかのように五月蝿く鳴いていた。
「……Aのさぁ、」
うん、と相槌をうったのになかなかだるまは言葉を続けなかった。じわりじわり肩から体温が混ざり合う。
「俺に変に遠慮してるんなに」
きっと不服そうな顔をしているんだろうな、というのが声色から分かった。
「…別に遠慮なんてしてないよ」
「ふーん、そ」
全然納得してなさそうな声、とは思ったものの結局私は何も言わなかった。
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たす(プロフ) - ?さん» 表現の仕方が素敵だなんてとっっっても嬉しいです〜😭ありがとうございます🫶🫶のろのろ更新ではありますが頑張ります〜! (5月1日 18時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - たす様の書く文章の表現の仕方がとても素敵で、毎回楽しく読ませていただいています🫶🏻🫶🏻これからもお体に気を付けて更新頑張ってください〜! (4月30日 19時) (レス) id: f6c1f6723a (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» 年下だからこその真っ直ぐで押せ押せな感じを書きたくて作った話なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!何度も読み返していただけてるのもほんと嬉しい限りです😭😭こちらこそいつもありがとうございます…! (3月24日 23時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
さんかく - いけいけごーごーのdrmさんとても新鮮で鼻血でそうです(年下好き)、幾度となく読み返してるこの短編にまた新しいお話が増えて純粋に嬉しいです!今回のお話も何回も読んで噛み砕いてにやにやしたいと思います、いつもありがとうございます☺️ (3月24日 19時) (レス) @page35 id: 035bc710b7 (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» そんな風に言って頂けるなんて遅刻だろうとお誕生日話更新してよかったです…!こちらこそいつもコメントに救われてます!!今回はちょっぴり幼さの残る夢主ちゃんにしてみました😊嬉しいです、ありがとうございます! (11月8日 23時) (レス) @page27 id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たす | 作成日時:2023年6月18日 21時