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男の気持ち悪いその手が私に触れそうになったときだ。一番後ろに居た男が突如現れたその足に蹴られて私の横へと勢いよく吹き飛んだ。突然の事に目の前の男の手も止まる。



「それ、俺のなんやけど何やっとんの?」



一瞬訪れた静けさに低く威圧感のある唸るような声が路地裏に響いた。



「だ、るまさ、」



月明かりに照らされたその顔はゾッとするほど美しく、その瞳は怒りを宿していた。"見つけた、殺すわ"そんな物騒なことを呟いている。恐らく無線で伝えているのだろう。


ふらり、蹴られて吹き飛んでいた男が青筋を立てながらすぐ隣で立ち上がった。



「てめぇ、なにしてくれっ」



バンバンバンバンっ!


発砲音が鳴ったかと思ったのも束の間、ものの一瞬でその場に立っているのは私とだるまさんだけになった。それはあまりにも一瞬で、その躊躇なく人の命を奪う行為に改めて彼がギャングのボスであることを認識した。


そして綺麗な革靴が血溜まりを躊躇なく踏みつけゆっくりとこちらへと近づいてくる。



「大丈夫やったか?だから言ったやん、外は危ないでって」

「それはっ、」

「うん?」

「っ、…ご、めんなさ、」

「謝れていい子やね」



優しく頭を撫でられているのになぜだか震えが止まらない。日頃の本当にギャングのボスなのか?というぐらい明るい太陽みたいな雰囲気は微塵もなくて。ただただ怖くて、その何を考えているか分からない視線から目を逸らしたくて仕方なかった。


その後のことはよく覚えていない。いつの間にか私はローレン君の車に乗っていて、だるまさんは乗ってきたであろうバイクでアジトへと戻っていた。車に揺られ、薄れゆく意識の中でローレン君の馬鹿なことしたねぇという言葉が嫌に耳に残っていた。
 
 
 
 

 

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たす(プロフ) - ?さん» 表現の仕方が素敵だなんてとっっっても嬉しいです〜😭ありがとうございます🫶🫶のろのろ更新ではありますが頑張ります〜! (5月1日 18時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - たす様の書く文章の表現の仕方がとても素敵で、毎回楽しく読ませていただいています🫶🏻🫶🏻これからもお体に気を付けて更新頑張ってください〜! (4月30日 19時) (レス) id: f6c1f6723a (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» 年下だからこその真っ直ぐで押せ押せな感じを書きたくて作った話なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!何度も読み返していただけてるのもほんと嬉しい限りです😭😭こちらこそいつもありがとうございます…! (3月24日 23時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
さんかく - いけいけごーごーのdrmさんとても新鮮で鼻血でそうです(年下好き)、幾度となく読み返してるこの短編にまた新しいお話が増えて純粋に嬉しいです!今回のお話も何回も読んで噛み砕いてにやにやしたいと思います、いつもありがとうございます☺️ (3月24日 19時) (レス) @page35 id: 035bc710b7 (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» そんな風に言って頂けるなんて遅刻だろうとお誕生日話更新してよかったです…!こちらこそいつもコメントに救われてます!!今回はちょっぴり幼さの残る夢主ちゃんにしてみました😊嬉しいです、ありがとうございます! (11月8日 23時) (レス) @page27 id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たす | 作成日時:2023年6月18日 21時

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