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だるまの膝に乗り上げれば腰に手が回される。必然と近くなる距離に少しだけ心臓の音が早くなった。いやいや、流されるな私。
「…なんですか、ご機嫌取りですか」
「ん?こんなんでご機嫌取らせてくれるんすか」
「…」
「怒らんといてや」
「…」
無言で睨めば困ったように笑いながら頭を撫でてきた。そんなのでうやむやになんてさせてやるもんか、と強い意志を持ってだるまを見つめる。
「なに、俺今誘われてる?」
「なんでそうなるのよ」
「だってAが熱い視線で見つめてくるんやもん」
「もんやめて、かわいくない」
「なんでやねん、かわいいやろーが」
「うるさいよ」
「もー、そんな拗ねんなや」
「拗ねてなんかないし。……拗ねてないからさぁ、次いつにするか決めない?」
「あー、っと…」
私の言葉にあからさまに明後日の方向を向くだるま。どれだけ外に出たくないんだよ、ともはや呆れのほうが勝ってきたまである。
そうだよね、だるまはできる限り家に居たいし外になんて出かけたくないもんね。わかってますよそんなこと。でもさ、ちょっとぐらい彼女の我儘聞いてくれたっていいじゃんって思っちゃうんだもん。
「もういい、だるま嫌い」
「はぁ?俺は好きやけど?」
「なっ、そういうとこも嫌い!」
間髪入れずに言われた言葉につい胸が高鳴ってしまう。おい、単純すぎるぞ自分。
ぷい、とそっぽ向けばこっちを向けというように腰に回っていた手が私の両頬を掬う。その優しい触れ方とは対照的に無理やりだるまと視線が合わされた。
「A、」
「やだ」
角度を変えて近づいてくるその顔を両手でガードすればみるみる不機嫌そうに眉を顰めるだるま。
「手どけろや」
「嫌ですけど」
「なんで」
「水族館デートの日決めてくれたら良いよ」
「…そんなに水族館行きたいん?」
「別に水族館じゃなくたっていいけど」
「なら別に家でええやん」
「あーあーあー、そういうこと言っちゃうんだ」
外に出かけるデート、ってことに意味があるのに。この男はきっとそんなこと何一つわかっちゃいないのだろう。
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たす(プロフ) - ?さん» 表現の仕方が素敵だなんてとっっっても嬉しいです〜😭ありがとうございます🫶🫶のろのろ更新ではありますが頑張ります〜! (5月1日 18時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - たす様の書く文章の表現の仕方がとても素敵で、毎回楽しく読ませていただいています🫶🏻🫶🏻これからもお体に気を付けて更新頑張ってください〜! (4月30日 19時) (レス) id: f6c1f6723a (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» 年下だからこその真っ直ぐで押せ押せな感じを書きたくて作った話なのでそう言って頂けて嬉しいです〜!何度も読み返していただけてるのもほんと嬉しい限りです😭😭こちらこそいつもありがとうございます…! (3月24日 23時) (レス) id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
さんかく - いけいけごーごーのdrmさんとても新鮮で鼻血でそうです(年下好き)、幾度となく読み返してるこの短編にまた新しいお話が増えて純粋に嬉しいです!今回のお話も何回も読んで噛み砕いてにやにやしたいと思います、いつもありがとうございます☺️ (3月24日 19時) (レス) @page35 id: 035bc710b7 (このIDを非表示/違反報告)
たす(プロフ) - さんかくさん» そんな風に言って頂けるなんて遅刻だろうとお誕生日話更新してよかったです…!こちらこそいつもコメントに救われてます!!今回はちょっぴり幼さの残る夢主ちゃんにしてみました😊嬉しいです、ありがとうございます! (11月8日 23時) (レス) @page27 id: 9e8649dc81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たす | 作成日時:2023年6月18日 21時