有名役者は氷の呼吸を使うらしい。【鬼滅の刃】壱

15話 玖の型 けあらし ページ17

ブワッッッッ



と、



途端に白い蒸気が刀から発生し、
あたりを覆い隠す。
霧のようなその霜は、私の居場所を
わからなくさせることが出来る。


目くらまし。






鬼舞辻無惨を見たのだ。
あの、鬼舞辻無惨を。

見なり、動き方、戦い方、
それを私は、何としてでも
上の人達に伝えなければならない。

逃げるなんて本当はしたくないが、
せっかく握った、鬼舞辻無惨の情報。

そして、真っ向に戦っても鬼にされるだけ。
これなら、逃げるが勝ちだ。



自分で言うのもあれだが、

私は足音を立てずに走るのが上手い。
舞台上では大事なことだ。
これもヒイラギで習った。









鬼舞辻｢.......！！！！見失った


どこだ｣





日が昇るまで、もう時間が無い。









.......................................................。






どれほど時間がたっただろうか。
周りは真っ白で、目には何も映らない。

鬼舞辻は苛立ちを感じていた。





鬼舞辻(隠れるのがうますぎる。
気配、足音、生物にとっては必ずあるものが
あいつにだけはない。


まるで忍びではないか。)




どれだけ樹をなぎ倒しても、
岩を砕いても、Aは出てこなかった。

そういえば、ヒイラギは忍びも職業だったか、
と、思い出してため息をつく。


ヒイラギは
ただの役者集団ではないのだ。
全員が、生まれた時から戦闘員。
鬼殺をするヒイラギもいる。殆どは
最終選別に行かなくても、鬼殺をする。

それを許された厄介な存在。

だがそれ以上に、隊服を着ているヒイラギほど
厄介なものは無い。

きちんと最終選別を受けているからだ。

ヒイラギで、最終選別を受ける事を許された者は
ヒイラギの中でも、才能を持ち合わせた強者。



Aだって、まだ若いし、経験が足りない。
だが、それでいて、
独自の呼吸を編み出している。


脅威の才能。選ばれたヒイラギ。






ヒイラギの子






鬼殺隊のヒイラギはそう呼ばれる。









ふわり









鬼舞辻｢！！！｣







鬼舞辻のまわりの、
けあらしだけが徐々に晴れ始めた。


何故だ。

そんなことはどうでもよかった。
Aを見つけなければ。









A｢.............





探しもの、ですか？｣









.......鬼舞辻の





ﾋｭ、

と、息を飲む音が響いた。









その後ろで、





ーーーAが、微笑みながら、立っていた。

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