30話 大丈夫 ページ32
雪の上に座りながら、
ギュウ、と抱きしめられた。
左手は腰に
右手はAの頭において。
A「.......にい、さ.......?」
.............。
いや、
こんな恥ずかしいことを平気でやれる
この男は、誰だ。
...................暖かい。
13歳の彼は、もうそこにはいない。
ひと回り大きい体が、
.......Aを離さなかった。
冨岡「.......A」
A「.......なん、のつもりですか。
さっさと切ってください。」
.......言い方が、少し強かったかもしれない。
Aは、ごめんなさい、と小さく謝る。
気にしない、と言われた。
冨岡「.......
俺は、鬼を切る仕事だ。
お前は鬼じゃないから切れない。
.......切りたくない。」
A「.......うん」
黙って冨岡に体を預けるA。
頭に置かれた手が優しかった。
冨岡「今もさっきも、お前はいつでも
俺を噛める状態だった。
だが、お前は噛まなかった。
.......A、お前は
.......大丈夫だ。」
A「.....!!」
.......大丈夫
生きるのが不安だったAが
1番欲しかった言葉。
この男は本当に、本当に何なのだ。
ボロボロと涙が出てくる。
冨岡「A、お前は、大丈夫。
人を襲ったりなんかしない。」
A「......うん」
冨岡「.......もしもの時は、俺が止める。」
A「......っ、うん.」
冨岡「だから...................
生きろ。命を無駄にするな。」
.......わかった、とは声に出さなかった。
そのかわり、首すじに口を置いて、
ハム、と挟む。
冨岡が、安心したように息を吐いた。
.......が、
A「.......飲み方、わかんない。」
.......。
どう、したらいいのだ。
噛む.......って、普通に考えて痛いのではないか。
きれいな肌に歯型がつくなんて、考えたくもない。
冨岡「.......気合いでなんとかしろ、そんなの」
いやいやいや、
.......人任せにも程がある。
冨岡の無愛想さは増しているようだ。
傷は小さく.......でも血は出ないといけない.......
..........
............
ジュウ、
と強く、1箇所の皮膚を吸い上げる。
冨岡「!」ビクッ
初めての血は、優しい味がした。
.......ごめん兄さん。
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ベルモット - 拝読させて頂きました。夢主の設定やイメージ画が結構好みでした。鬼達とどの様に戦うか?楽しみです。私ベルモットも夢小説を投稿している身なので参考にさせて頂いております。 (2019年11月25日 20時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
tim(プロフ) - 狂狐さん» ぁぁぁ.......泣きそう。ありがとうございます。物語の構成が、少しややこしいかな〜、と、心配だったので、その言葉が身に染みます.......笑。がんばります!! (2019年10月25日 5時) (レス) id: fb565d856b (このIDを非表示/違反報告)
狂狐(プロフ) - とても面白い!夢主の性格や物語の構成など好きしか言葉が出なくなる語彙力低下の症状が……(((更新頑張ってください!応援してます! (2019年10月24日 22時) (レス) id: 8ba41bb7e5 (このIDを非表示/違反報告)
tim(プロフ) - ぐみさん» わあぁ!!ありがとうございます!本当にとても嬉しいです!自分、占ツクで小説を書くのが初心者でして、経験が足りないのです。台本書き?というものがあるのですね!勉強になりました!わざわざありがとうございます!頑張ります!笑 (2019年10月22日 20時) (レス) id: fb565d856b (このIDを非表示/違反報告)
ぐみ(プロフ) - いつも読ませてもらってます…好きです‥(唐突)セリフや言葉の選び方がとてもじょうずですね!!ですが台本書きのせいで少し作品の雰囲気が薄くなってしまっている気がします…すいません上から目線で…これからも更新頑張ってください!!! (2019年10月21日 23時) (レス) id: 46a85766e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ewo | 作成日時:2019年10月13日 11時