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乗り込んだタクシーの向う先があの時のホテルと一緒であることを、北斗が運転手に行き先を告げた時に知り、流れる景色を見ながら、これから先起こることへの期待と不安が入り交じって何度も唾を呑んだ。
少し遠いホテルのはずなのに、あっという間に着いてしまい、またご丁寧な建前を立てて、俺は北斗にまた肩を担がれながら部屋になだれ込んだ。
部屋の扉がしまった途端に、その建前から開放されたように北斗は俺から自然と離れて椅子へと腰掛けた。
どうしていいか迷いながらも俺はベットへと腰掛けた。
部屋を少し見渡し、懐かしさとあの頃の思い出に胸が少し締め付けられて息が詰まった。
｢助けたぞ｣
ぶっきらぼうな声が聞こえて、思わず椅子に座る北斗を見ると、やっぱり目線は俺では無いどこかへと向いていた。
｢うん…ありがとう助かった｣
助けてと言ってしまったのは俺で、それを受け取って助けてくれたのは北斗。
｢あ…そうだ。
飲み物とその…ゼリーありがとう｣
だからどちらがどうと言う訳ではなく作られたこの空間と時間に、お互いどうしたらいいかわからなくなっているのだと思う。
だから絞り出した会話のタネは、思い出したかのように言うには少し失礼で、でも今しかないと思って口にした感謝の言葉だった。
でもそのことに対して、何か言葉が返ってくる訳では無かった。
そのせいで始まったお得意の無言が続く時間に、焦ったように次の手を考えていた。
｢駄目なんだ…｣
次の手を思いつく前に、少しの物音でも消えてしまいそうな小さな声が聞こえて、その声を辿るように視線を向けた先には、あまりにも綺麗な瞳が映った。
｢見てないはずなのに視界に入ってきて
気づいたら距離が近くなってたり
トマト見れば頭に浮かんでくるし
どんなに騒がしい場所でも声が1番に入ってくる。
いつもいつも
表現する言葉も見つからないような変な感情が湧いてきて、その感情から逃げたくて仕方なくなる｣
そう話しなしながら
北斗の綺麗な瞳が揺れる度に
俺の感情も揺さぶられて
思わず握っていた手に力が籠った。
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くれよん(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるだけでとても嬉しいです。またお楽しみ頂けるように頑張ります!本当にありがとうございました! (5月15日 22時) (
レス) id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - きょもほくが大好きで、こちらの作品を楽しみにしていたので完結は少し寂しい気もしますが次の作品が楽しみです！お疲れ様でした！ (5月15日 20時) (レス) @page46 id: 0534630088 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます。ご覧頂けて嬉しいです！お待たせしておりますが、また更新致しますのでお待ちください！！ (2023年4月26日 13時) (レス) id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 更新頑張って下さい！待ってます！ (2023年4月23日 23時) (レス) id: 0ddb7ca8e5 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - Oukaさん» コメントありがとうございます!!以前から読んで下さってたんですね。お心遣いまでありがとうございます!!また再開しましたので、これからもお付き合い頂けると幸いです!! (2023年3月31日 0時) (レス) @page23 id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2023年3月5日 21時
