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｢北斗…北斗｣
何度名前を呼んでも北斗は俯いたままだった。
｢北斗｣
もう3回目にもなるのに北斗が微動だにしないせいで
俺はやっと掛けていた椅子から腰を上げた。
｢北斗｣
もう一度名前を呼んで
北斗の前でしゃがみこみ
俯いた北斗の顔に両手を添えて
顔を挙げた。
北斗の両目から
大きな涙がとめどなく溢れ出していた。
唇を力強く噛んで
声1つ漏らさず
ただただ
涙を流していた。
｢ごめん…ごめん｣
やっと聞けた北斗の声は震えていて
力のない声だった。
俺はつられるように視界がぼやけて、よく北斗顔が見えなかった。
北斗は両頬に触れていた俺の手に自分の手を重ねた。
その後俺の手首を見てまた少し狼狽えたように言った。
｢痛かったよな…｣
俺の手首にはまだあの時押さえつけられてできた痕が少しだけだが残っていた。
もうなんともないような小さな痕だった。
でも北斗はその痕を見ながらまた涙を流して、酷く傷ついた顔をしていた。
あれだけ助けに来てくれた時は頼もしくてかっこよかったのに、何かが崩れたように泣く北斗を目の前に、柄にもなく同じように泣いている自分がいた。
｢痛くない。もうなんともない。
こんなのもう少ししたら消えるから…
全部消えるんだから｣
そう言って俺はそのまま北斗を抱きしめ
両腕に力を込めた。
北斗の匂いと体温を感じて
また大きく視界が滲んだ。
全部消えて
全部無かったことにして
隣に座れたとか
今日は話せたとか
そんな小さなことで喜べたあの頃に…
季節外れの花火を一緒にして
なんでもない日に泊まる夜景の綺麗なホテルで過ごすあの何気ない日に
戻りたい…
そんな事を祈るように思いながら
｢北斗…
別れよっか｣
そう言っていた。
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くれよん(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるだけでとても嬉しいです。またお楽しみ頂けるように頑張ります!本当にありがとうございました! (5月15日 22時) (
レス) id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - きょもほくが大好きで、こちらの作品を楽しみにしていたので完結は少し寂しい気もしますが次の作品が楽しみです！お疲れ様でした！ (5月15日 20時) (レス) @page46 id: 0534630088 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます。ご覧頂けて嬉しいです！お待たせしておりますが、また更新致しますのでお待ちください！！ (2023年4月26日 13時) (レス) id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 更新頑張って下さい！待ってます！ (2023年4月23日 23時) (レス) id: 0ddb7ca8e5 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - Oukaさん» コメントありがとうございます!!以前から読んで下さってたんですね。お心遣いまでありがとうございます!!また再開しましたので、これからもお付き合い頂けると幸いです!! (2023年3月31日 0時) (レス) @page23 id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2023年3月5日 21時
