モヒートを飲んだ朝 (ページ10)

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開いたエレベーターの向こうには、初めてこの部屋の前に立った時と変わらない、堂々と余裕さえ感じさせる大きな扉が現れる。お洒落なのかただ雑に示されているかは未だにわからない、ローマ字でHokutoと記されているのも相変わらずだった。

ゆっくり扉を開ける。

大きなベットに横たわって、天井を見上げている北斗が目に入った。

ゆっくりと首だけをこちらに向けた後、いらっしゃいませと気の抜けた声が聞こえた。

「最後なんだから出迎えくらいしろよ」

そう言うとやっと上半身だけ起こし、両手を天井に向けて伸ばして背を伸ばした北斗は、ベットから足を降ろしてこちらに向かってきた。

「いらっしゃい」

今度は腑抜けた声ではなく、しっかりとそう言った後、そのまま全体重を預けるかのように北斗は俺を抱きしめた。

「重い」

「はいはい」

部屋を見渡すと、この部屋に少し違和感を出していた生活用品はすでに姿はなく、そういう行為をするだけの部屋と化していた。

少し浸るように部屋を見渡していると、重みが無くなり、同時に温もりも遠ざかった。

「120分コースでお間違いないですか」

「あぁ」

そう確認された後、北斗は俺のポケットに手を突っ込み、タバコと鍵を取り出して机に置いた後、すぐに目が合った。

そのまま吸い込まれるように距離が縮まり、唇が触れ合った。腰に手が回って、俺も腰に手を回した。