モヒートを飲んだ朝 (ページ5)

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Shintaro_side

「北斗は出会った時からどこか自分を客観視しているところがあって、その場に合わせて感情張り付けて生きているように感じることあった。でも田中樹が出入りするようになって、素直な北斗の感情が見えるようになった。良くも悪くも。

だから田中樹と会ってから少し無理してただろ？」

北斗はあからさまに体調を崩す日が多くなった。他の客と対応した後、苦しそうにすることが多くなったように思えた。

「まあ…心底惚れてる奴から聞く恋愛相談をなんとも思わず聞けるほど、心は死んでなかったみたいだし」

「挙句の果てには入れ込み過ぎて、田中樹以外に抱かれんのキツくなったんだろ」

「…ごもっともです」

ジェシーからも何度か相談を受けていて、そんな状況からなんとか助け舟をと、ある意味親心に近い気持ちで田中樹に接触し、あの機会を設けた。

「で、本題に戻るけど、北斗辞めたいんだろ？
それ言いに来たんだろ？」

きっと辞めるはずだと思ってはいた。
だから先に遮ってまで今までの事をすべて話そうと思った。

「辞めないよ」

「は？」

「辞めるって言いに来た訳じゃない。お願いに来たんだ」

辞めないという選択肢があることに驚きを隠せなかった。
それを言われて、自分の思考が分かりやすく止まったことがわかった。