モヒートを飲んだ朝 (ページ11)

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息継ぎも忘れるほど、深く深く唇を重ねて、離れたと思えば、また名残惜しさに唇が重なる。

「じゅ…んっじゅり……シャワー」

そう言われて、北斗のバスローブに手をかけた。その間も唇は離れることを拒むように、俺は北斗の唇を追いかけた。

ここにいる時の北斗は脱がせやすいようにバスローブ姿が基本だった。イベントや季節によっては特別な衣装を身にまとっていることもあったが、どれもこれも脱がせやすい服装ばかりだった。

今日も変わらずバスローブを着る北斗を見て、"嫉妬"と呼ばれる感情があったのは確かだった。

もう樹はお客さんじゃないからお店ではしないし、したくないでしょと言われ、その言葉が客から特別に変わったということを実感出来て嬉しかったのと同時に、胸が少しザワついた。

それは別の誰かに抱かれている北斗を強く意識させられているようだった。

だからこのバスローブ姿は、北斗がここのキャストであることを示しているようで、早く脱がせたいとただそれだけを思っていた。

バスローブを床に落とし、北斗を下着1枚にしたところで、体のいたる場所を撫でるように触れた。
するとその度に体を震わせ、吐息を出す北斗のかもし出すその何かが、俺の頭を揺るがす。

"自分のもの"という言い方は少し乱暴に思えるが、特別を勝ち取った俺に向かって、しばらくはこの仕事を続けたいと言われた時には、何度も頭を抱えたが、北斗の決意や意志を尊重したいと純粋に思って了承した。
加えて北斗は昼職が決まるまでこの部屋に住み続けると、俺の家に住むことさえ拒んだことで、その先の悲劇を生んだ。

俺も北斗も店で会う気はなかったし、北斗は就活と店に出ることで手一杯になり、俺も少し仕事が忙しい時期に入ってしまった。
店を介さないだけで、こんなにも会えなくなってしまうという事実に、ただ項垂れるだけだった。

結局今日まで会えず、抱けずで我慢も限界を超えていた。

やっと昼職が決まり、最終出勤の日が決まった時に、最後だからと北斗に頼まれて、最終の枠を予約してもらった。

"ここでの最後は樹がいい"

またそんなバカみたいに甘い言葉を北斗はなんの恥ずかしげもなく言うものだから、俺はまんまと今ここにいる。