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この店の不思議な構造が1つ。
入口と出口が異なることだ。
部屋の隅に申し訳無さげに佇む非常口のような扉を開ければ、錆び付いた階段がすぐに待ち構えている。まるで逃げるかのように、いやそれよりも追い出されている感覚に近い。
エレベーターで優雅に部屋に招かれた後にこの階段が待ち構えていると、現実にすぐに引き戻されて、余韻すらなくなってしまう。
でもそれを何1つ気にしていない様子で階段の上から見送るホクトの顔を見て、俺もまたそんなことはどうでもよくなって、またここに来てしまう。
｢田中樹さん｣
そんな階段の最後の段から足が離れた瞬間にそう声をかけられ、俺は分かりやすく肩を揺らした。苗字だけではなくフルネームで呼ばれたことと、この街で店から出てすぐに声をかけられたことが、一層俺の焦りを掻き立てる。
それでも振り向かない訳にはいかず、声のする方に振り向くと、見慣れた黒服を着た男が立っていた。
｢こんばんは｣
着ている黒服でHealing の店の奴だということはわかった。こちらを見定めるような視線は決して気分がいいものではない。
｢なんすっか｣
そのせいで自分の口調がやけに強気なのもわかった。
｢覚えてないです？僕のこと｣
黒服はいつも店の入口に1人立っている。
大体はいつも同じ奴で、たまに違う黒服も立っているけれど、目の前の男に見覚えはなかった。
ハーフっぽい顔立ちの高身長で、一見どこかのモデルにも見える。そう思えるほど外見はすべてを兼ね備えている男だ。
これだけインパクトがあれば1度目にしていれば覚えているはずだった。
｢あなたが道路で座り込んでた時、ホクトの隣にいたんだけどな｣
そう言われてなんとなくその男の発言と顔が一致した。
ホクトと俺が出会った時、横でかなりの警戒心を見せていた黒服だった。あまり顔までははっきりと覚えていなかったが、言われればこの男ような気がした。
｢あぁ…あの時の｣
｢思い出しました？｣
｢まぁ…で、それはそれでご要件はなんですか｣
今日は濃い1日だったせいか、このまま家に帰って早く寝たいという気持ちだけが先走って、黒服が誰だろうがあまり興味はわかなかったし、わざわざここで待っていた理由もあまり気にはならなかった。
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くれよん(プロフ) - 大好き程度で結婚すんじゃねぇぞ！！さん» すいません。コメントありがとうございます。遅くなりましたが、更新しましたのでぜひご覧ください。 (2022年12月25日 21時) (
レス) @page45 id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
大好き程度で結婚すんじゃねぇぞ！！ - 更新がんばってください！！わたしはこのお話が大好きです(°▽°) (2021年3月12日 22時) (レス) id: feb3810b9b (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ハローパラレルさん» そう言って頂けて嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年3月2日 1時) (レス) id: efb92cae20 (このIDを非表示/違反報告)
ハローパラレル(プロフ) - くれよんさん» 更新ありがとうございます！面白いです！今、一番好きな作品です！ (2021年2月28日 14時) (レス) id: a702828ef9 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ハローパラレルさん» コメントありがとうございます。遅くなってしまい申し訳ございませんでした。お話を更新しましたので、引き続き応援よろしくお願いします！ (2021年2月27日 22時) (レス) id: fe5efae8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年12月28日 23時
