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あれだけお互い目が腫れるほどみっともなく泣いて、思いをぶつけ合ったあの日。帰って冷静になった瞬間、これから俺たちはどうなるのだろうと考えた結果、すぐに電話をかけて、きょもに会わせたいと啖呵をきったのだ。
会うと承諾した北斗は、電話越しでもわかるほど不安そうな声をしていた。
俺が何を考えているのかわからなくて不安なんだろうなと思った。だから会って欲しいだけ伝えて、会ってどうするかなんて説明は北斗に何一つしていないのだ。
「北斗に惚れる前は、きょもをそういう目で見てた。ごめん。気持ち悪いだろうけど、結構好きだったんだよね。でも安心して。今はこの男が好きだから」
きょもは心底驚いた顔をしていたが、少しずつ飲み込むように表情は柔らかくなった。
「そっか…てか樹がそんなこと思ってたなんて全然わかんなかった」
「当たり前だろ。そんなこと普通思いもしないって」
「そっか…そっか。なんかごめん。俺お前に婚姻届の手伝いまで…」
「いいよそんなの。友だちいくらでもいるだろうに、その中であえて俺を選んで頼むのはセンスあんなとは思ったけど」
北斗は俺らのやり取りを聞きながら、居心地が悪そうに黙ってジョッキを触って動かしては、俯いてを繰り返していた。
ずっと居酒屋の雰囲気には合わない空気が、この場所だけ流れている気がした。
「松村くん」
「あ、はい」
きょもが北斗に呼びかけることで、俯いてばかりの北斗の顔がやっと正面を向いた。
「正面で見たらすごく綺麗な顔してるじゃん。こんないい男、樹にはもったいないよ」
そんな冗談を言って、いたずらに笑うきょもを見ながら、俺がきょもを好きだった理由はこういうところだったな、なんて思っていた。
きょもの冗談で少し空気が和んだように思えた。そのお陰か、北斗がやっと口を開いた。
「京本さんのほうがよっぽど綺麗な顔してますよ。俺なんてそんな…」
「松村くんは十分かっこいいよ。本当にもったいないくらい。だから樹が少しでも嫌ならちゃんと断っちゃいな」
「おい！きょも変なこと言うなよ」
3人とも頬が少し緩んだところで、やっと1品目の料理が届いて、それに縋るように全員の箸が料理に向いた。
「京本さん。
大丈夫です。
どっちかというと俺の方が樹のこと好きなんで」
聞き逃してしまいそうなほど、小さな北斗の声だったが、それでもうるさい居酒屋の中で、俺には1番はっきりと聞こえた声だった。
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くれよん(プロフ) - 大好き程度で結婚すんじゃねぇぞ！！さん» すいません。コメントありがとうございます。遅くなりましたが、更新しましたのでぜひご覧ください。 (2022年12月25日 21時) (
レス) @page45 id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
大好き程度で結婚すんじゃねぇぞ！！ - 更新がんばってください！！わたしはこのお話が大好きです(°▽°) (2021年3月12日 22時) (レス) id: feb3810b9b (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ハローパラレルさん» そう言って頂けて嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年3月2日 1時) (レス) id: efb92cae20 (このIDを非表示/違反報告)
ハローパラレル(プロフ) - くれよんさん» 更新ありがとうございます！面白いです！今、一番好きな作品です！ (2021年2月28日 14時) (レス) id: a702828ef9 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ハローパラレルさん» コメントありがとうございます。遅くなってしまい申し訳ございませんでした。お話を更新しましたので、引き続き応援よろしくお願いします！ (2021年2月27日 22時) (レス) id: fe5efae8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年12月28日 23時
