モヒートを飲みたい夜

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「俺ね。慎太郎に雇ってくれって言ったのは、母親から早く自立したくて、働かせて欲しかったから。

小さい頃から夜の世界を知ってるから、そこでなら働ける気がしたから。


色々あって、女の人が苦手になっちゃったから男の人を相手にするようになって、徐々にわかってきたんだ。


すっごく馬鹿みたいなこというけど、俺は樹に惚れたんだなって。


だから樹見た瞬間、気持ち伝えるとか付き合いたいとかそんなことより、一緒にいれたらいい。行為をしてくれて、俺に会いに来てくれるだけで十分だったよ」



みっともないくらい止まらない涙を、まだ堪えようと抗っている間に、そんなことを言われて、涙は増えるばかりだった。


これでもかと抱え込んだ気持ちを背負ってなお、俺の剥き出しの感情を受け止めて生きていた北斗のことを考えるだけで、胸が酷く傷んだ。


「北斗…俺はもう十分助けてもらった。

今度はさ、俺に分けてよ。

全部教えて。北斗のこと。

俺はまだまだ知らないから。

わからないことは教えるし、背負ってるものはもらうから」


こんなにも守りたいと思った人はいない。
確かにきょもには恋をしてた。

でも北斗にはもう恋とかではなくて、違う何かを感じてる。


だって俺がいった言葉でこんなにも、嬉しそうな表情をするんだから。

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