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Hokuto_side
父親は幼くてほとんど記憶がない頃に蒸発した。
母親は稼ぐためにと、昼も夜も出かけて行った。
母はたまに騒がしくて、少し蛍光の強い内装が印象的な店に俺を連れて行った。
ここに暫くいてねと言い残して、狭くて物が溢れかえっている控え室のような場所に俺を置いて行った。
今となっては、母親がどんな店でどんな仕事をしていたのか理解出来きるが、その頃は何も理解する間もなく、大人しく迎えを待っていた。
時々扉越しに聞こえる、男と女の品のない声が今でもこびりついている。
その控え室には、蛍光灯の明かりでさえスパンコールが光って目を逸らしたくなるような、派手な服を着た女の人が入ってくることがあった。みんな俺を見て笑いかけたり、少し迷惑そうに俺を見下ろす人もいた。
でもあれは確か少し雪がチラつくような季節だった。こんな寒い日に、肩が大胆に出た黄色い服を来た女の人が、控え室に大きな物音を立てて入ってきた。お酒の匂いと香水の匂いが混ざって、思わず鼻をつまみたくなったのを覚えてる。
顔を赤らめて、長い髪をかきあげながら床に座り込んだ後、俺をじっと見つめた。
そこからはあんまり覚えていない。
でもすごく不快な匂いが全身に付きまとったことだけを覚えてる。
それ以外は思い出したくもない。
綺麗に装飾された指が、自分の肌に触れる度に、鳥肌が立ってしまうような思いだった。
その時自分がなぜ抵抗しなかったのかわからない。でも抵抗してはいけないという謎の負荷がのしかかっていた。
それから何度かそんなことがあって、いつしか女の人に不快感を覚えるようになった。
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くれよん(プロフ) - 大好き程度で結婚すんじゃねぇぞ!!さん» すいません。コメントありがとうございます。遅くなりましたが、更新しましたのでぜひご覧ください。 (2022年12月25日 21時) (レス) @page45 id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
大好き程度で結婚すんじゃねぇぞ!! - 更新がんばってください!!わたしはこのお話が大好きです(°▽°) (2021年3月12日 22時) (レス) id: feb3810b9b (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ハローパラレルさん» そう言って頂けて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年3月2日 1時) (レス) id: efb92cae20 (このIDを非表示/違反報告)
ハローパラレル(プロフ) - くれよんさん» 更新ありがとうございます!面白いです!今、一番好きな作品です! (2021年2月28日 14時) (レス) id: a702828ef9 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ハローパラレルさん» コメントありがとうございます。遅くなってしまい申し訳ございませんでした。お話を更新しましたので、引き続き応援よろしくお願いします! (2021年2月27日 22時) (レス) id: fe5efae8c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれよん | 作成日時:2020年12月28日 23時