モヒートを飲みたい夜

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｢だから単純な俺は樹を好きだと思った。この人が好きだって。顔と名前しかしらなくて、そんな数秒の会話しかしてないのに、好きだって感情を持った。簡単すぎるだろ。でもそんな些細なことが俺にとっては大きかった。
だから運命だと思ったよ。普段出歩かない俺が、あの日は偶然ジェシーに無理やりご飯連れてかれた帰りだった。道路に座り込んでた人になんとなく目が向いて、たまたま持ってたペットボトルをなんとなく差し出した。そしたらあの時よりうんと大人になった樹がいた。驚いたよ。また会うだなんて思ってもないもん。
でも樹は全然気づいてなくて…当たり前なんだけどちょっとショックだった。でもこのまま終わるのは嫌で、咄嗟にカードなんか差し出して、他人のままでも繋がりを残そうとした。この店で俺に溺れていけばいい…なんて思ってた。


でもさ

聞いちゃったら

もう知らないふりして他人のままでいいなんて思えないじゃん。





好きだよ俺も樹が…

出会った時…いや中学の時からずっと

樹しか好きじゃなかった｣



俺のおざなりにしていた中学の記憶は、やっぱりはっきりとは戻りはしなくて、目の前のホクトが好きだと思った俺は記憶になくて、それが悔しいのかそれともそんな思いを抱えながら、俺に抱かれていたホクトに向ける顔がないのかわからないけど


ホクトも泣いていて

俺も泣いていた。

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