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いつの間にか脱ぎやすい服を着るようになっていた。
ボタンや首のしまっている服は脱ぐ時に手間がかかる。
その手間さえもこの人に使っていると考えるだけで無駄だと感じる。
だから決まってそれらの服は避けるようになってしまっていた。
そんな服は飾りだと言わんばかりに部屋に入れば脱がされ、自分で見れば貧弱で細々しすぎる体に触れるその手は冷たくて、荒れているのかそれともそんな肌なのか、ザラザラとした指先が触れる度に鳥肌が立った。
水商売の女の子たちは、こんな不快感をどうやり過ごしているのだろう。そんなことさえも考えるようになってしまっていた。
数日前にあの公園で感じてしまった北斗の温もりと、できなかった花火の焦げ臭いだけの匂いがやけに頭に浮かぶ。
北斗との幸せを感じる度に、この時間が苦痛になるのは当たり前なのかもしれない。
でもその当たり前を受け入れる度に、息が詰まって呼吸がしづらくなる。
もう慣れていますと言わんばかりに手馴れた手つきで俺の体をベットに沈めて、手始めにされるキスはなんとも冷たい。
温もりなんてものは人間であれば誰にでも当たり前に存在するもので、当たり前にその温もりは感じるものだと思っていたけれど、体温を感じても温かくはなかった。
｢京本くん…いつ松村くんに抱かれた？
まだ話してないんだよね。
松村くんはどんな顔して君のことを抱いたの？
ねぇ聞かせてよ｣
そんな趣味の悪い質問を繰り返すだけ繰り返し、満足気に笑いながら身体中を触る手の感触にとうとう耐えきれなくなって、思わずその手を止めるように掴んでしまった。
｢あんま…触るのやめて｣
そう言ってしまったことを後から酷く後悔した。こういう言葉を好む人だということをすっかり忘れていて、迂闊に言葉にしてしまった。
｢堪んないよ…京本くん｣
今日は朝日を見るまで解放されないのだろうか…
明日は振り入れの日だからあまり体に負担はかけたくないな…
そんなことはきっとこの人に届くことは無いんだろうなと思いながら、そっと目を閉じた。
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くれよん(プロフ) - もずくさん» 大変遅くなりました。コメントありがとうございます。更新再開しましたので、またご覧頂けると嬉しいです！ (2023年1月22日 22時) (
レス) id: afe818a83d (このIDを非表示/違反報告)
もずく - 続き気になります！更新楽しみにしてます (2021年3月13日 10時) (レス) id: d307ed8e57 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - ぺるさん» ありがとうございます！がんばります！ (2021年1月20日 0時) (レス) id: 7a19f15719 (このIDを非表示/違反報告)
ぺる - とても面白いです更新たのしみにしてます！！(><) (2021年1月17日 23時) (レス) id: b9b2df3b6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年11月29日 22時
