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｢家この辺？｣
｢いや、今組んでるバンドのメンバーの家がこの辺で、今日そいつの家に泊まる予定なんだけど、なかなか帰って来なくて暇つぶしに本屋寄って見てたら、ついつい買いたくなっちゃって｣
｢相変わらず漫画好きだな｣
｢まーね。北斗も本買いに来たの？｣
｢そう。予約してた本取りに来ただけなんだけどね｣
そこまで話して、おじさんが少し咳払いをしながら横を通りすぎたことで、俺たちが堂々と道のど真ん中で話をしていることに気がついた。
それでもこの話を辞めてまで避けようと思わなかったのは、きっと話している相手が相手だからだと思った。
｢てか漫画一気買いするところも変わってないな｣
｢一気に読むのが俺流なのは変わりないから。それは揺るぎない｣
｢何だよそれ。というか今から人の家に泊まるのにそんなに漫画買って帰る気？｣
｢だって今欲しいから仕方ないじゃん｣
｢ほんと変わんねーな｣
そう言いながら俺たちは再会してから初めの笑顔を見せた。
その笑顔とともに雰囲気が一気に和らいでいくのがわかった。
漫画をタワーにして床に寝転んだまま、何度も何度も仰向けになったりうつ伏せになったり、体勢を変えながら漫画を読む彼の姿は容易に想像できて、そんな光景を飽きるほど見ていたことを思い出した。
そしてその姿を見ながら
俺もその横で同じような格好で本を読んでいたことも
そのまま2人で床に寝てしまったことも
そのすべて思い返せば
自分の肩に分かりやすく入っていた力が抜けていくのがわかった。
｢今さ…｣
あれだけ次の言葉に戸惑っていた時間が嘘のように、次から次に話題が浮かぶようになった頃、そう言いかけた俺のポケットに入っていたスマホが小刻みに揺れだした。
そのスマホの振動でやっと俺は慎太郎の姿が思い浮かんだ。
｢やべ…｣
｢え？｣
｢あ、いや俺急いでたのすっかり忘れてて｣
｢あっそうなんだ。なんかごめん｣
｢いや全然｣
名残惜しい。
素直にそう思った。
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くれよん(プロフ) - 腐女子ちゃんさん» コメントありがとうございます！毎日更新目標に頑張っていこうと思います！本当にありがとうございます(^^) (2020年5月24日 17時) (
レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子ちゃん - 面白いです！これから関係複雑になっていきそうですね…作者さんのペースでいいので更新頑張ってください！応援しています！ (2020年5月24日 8時) (レス) id: 7a4cdc3ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年5月24日 0時
