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Taiga_side
｢俺…泣いてる？｣
自分の目元に手を当てると
微かに冷たさを感じた。
｢変だね俺｣
目の前で俺以上に戸惑っている樹を見て
ますます涙を止めようとすればするほど溢れてきた。
樹は気がついたら俺の傍まで来ていて
拭っていた手を掴まれて
そのまま引っ張られたと思えば
樹の胸の中に体が収まって
優しく抱きしめられていた。
｢樹…？｣
｢なんかよくわかんねーけど泣くなよ。
切ったのが悪かったなら謝るよ。
だから泣くなって。
嫌なんだよきょもの泣いてるとこ見んの｣
そう言った後
さっきまで優しく抱きしめてくれていた樹の腕に少し力が入ったのがわかった。
｢違うよごめん…何でもないから｣
｢なぁきょも｣
｢なに？｣
｢俺はやっぱりきょもが好きだわ。
きょもがどれだけ無理だって言っても
どうしても
最初にきょもに告白した時からずっと…
だから
泣いてる理由はよくわからないけど
もし誰かのせいで泣いてるんだったら
俺じゃそいつの代わりにはなれない？｣
樹は優しい声で
まるで包み込むようにそう言った。
声を発する度に
胸からも振動が伝わる。
俺は樹の告白を何年も断り続けた。
それは学生の頃
北斗に別れて欲しいと告げた時から
もうこの先誰とも付き合ったりはしないと
誓ったから。
なのに俺は
北斗と再開した途端に
そんな決意などなかったかのように
ずるずるとあの本屋で会っていた。
北斗に会う権利など俺にはないはずなのに。
そしてこうして
どれだけ振っても
どれだけ拒否しても
どこにも行かず
ずっと傍で俺だけを見て
好きだと伝え続けてくれる
その好意に甘えて漬け込んで
いいように利用して…
今俺はその人の胸の中で
他の人との思い出に泣いている。
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くれよん(プロフ) - 腐女子ちゃんさん» コメントありがとうございます！毎日更新目標に頑張っていこうと思います！本当にありがとうございます(^^) (2020年5月24日 17時) (
レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子ちゃん - 面白いです！これから関係複雑になっていきそうですね…作者さんのペースでいいので更新頑張ってください！応援しています！ (2020年5月24日 8時) (レス) id: 7a4cdc3ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年5月24日 0時
