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松村くんとのカウンセリングは回数を重ね、次第に彼の変化が現れてきた。
強ばらせていた体は、椅子に深く腰掛けるようになっていたし、俺が動く動作に反応することも少なくなった。
｢最近大学のほうはどうかな？｣
｢別に…何も変わりないです｣
視線は合わず、どこかいつも違うところを見ながら、素っ気ない返事をする彼だったが、
｢この前言ってた本屋さん行ってみた？｣
｢行ったよ。思ったより狭いけど、珍しい本もあって面白かった｣
会話は自然と膨らむようになり、未だに視線は合わないままだが、表情は前よりも少しだが柔らかくなった。
まずは関係性を築くことからはじめ、関係性が出来きれば、きっかけもでき、そこから彼の本質に歩み寄っていこうと思っていた。
ここに来る人は
大抵その人自身が相談をしたり
話をしたくてやって来る。
でも今回は違う。
ジェシーが彼を連れてきた。
だからなかなか彼からのアクションも少なく、きっかけもない。
こちらから積極的なアプローチをする方法もあるが、今まで関わってきたことを踏まえると、積極的な関わりは、築き上げたものは一気に崩し、逆に距離が離れてしまうような気がした。
でもそれはそれで、進まずに足踏みをしてしまうことになりかねない。
何年もこの仕事をしていても、そのバランスにはいつも悩まされる。
そんなことに悩んでいた頃だった。
ジェシーが沢山の写真や動画を抱えて俺の元に訪れた。
｢もっと早く渡せばよかったんだけど、参考になればと思って｣
そう言って俺に手渡したのは、ジェシーが持っている昔の彼が映る写真や動画だった。
カメラに向かって満面の笑みでポーズをきめている姿
テーマパークに遊びに行った時であろう動画には、キャラクターを見つけてはしゃぐ姿
椅子に腰かけて、真剣な表情で読書をする姿
何より
ジェシーの横で楽しそうに笑う姿が印象的だった
何枚もある中で、そんな写真が1番多かった
ジェシーが
取り戻したい
そう思う気持ちがよくわかるほど
彼の表情や姿は輝いていた
ジェシーは彼がいたからと言ったけど
きっと彼もジェシーがいたから
毎日を楽しく過ごせていたんだと思った
そしてその姿からは想像できないほどに
変わってしまった今の姿を思い出すと
胸はひどく痛んだ
そんな痛み以上の思いを抱えて
ジェシーは今まで彼を救おうとした
それもまた俺の胸を締め付けた
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あーちゃん(プロフ) - くれよんさん» 読んでくださったんですか！ありがとうございます( ; ; )そんなお褒めの言葉恐れ多いです！お互い頑張りましょうね。ありがとうございます♪ (2020年5月16日 0時) (
レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!活動を始めたばかりで、不安なことも多かったので、コメント頂けて嬉しいです(;_;)勝手ながら作品も拝見させて頂きました。私にはない表現力に圧倒されて、私も頑張ろうと思えました!大変なこともあると思いますが、私も応援しています! (2020年5月16日 0時) (レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - はじめまして。私も創作活動をしており、先日フォロワーさんに教えていただき、一気に読了しました！末ズの優しさが際立っていて素敵です！黒と青の関係、続きが気になります…更新頑張ってください！応援してます(^^) (2020年5月15日 22時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年5月8日 1時
