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心理学を学んでいる者として
ひとつ言えることは
恐らく恐怖と独占欲を振りかざして
松村くんの心理状態を変えたのは確かだ。
田中樹がそれを意図していたかはわからない。
でも彼は上手に松村くんを変えていった。
恐怖や強制力の中に
快楽や優しさを使っている。
でも決してその優しさや快楽は完全なものではなくて
どこか欠けた状態で彼に与えている。
だから彼は抜け出せないほど落ちていった。
｢俺が樹のもとから解放された日のこと知ってる？｣
｢え？｣
｢樹に連れられて近くのスーパーに買い物に行ってたんだ。
そしたらジェシーにばったり会った。
ジェシーは俺たちにすぐ気づいて
すぐに俺たちのところに駆け寄ってきた。
樹どうすんのかなーって思ってたんだよね。
そしたらジェシーがすっごい形相で俺の目の前まで来て、俺の肩がっちり両手で掴んで、樹から引き離された。
樹その時どうしてたと思う？
俺の手首握ってたんだけど、今まであれだけの握力で掴んでたくせに、その時だけはあっさり離したんだ。
その後ジェシーは散々樹に怒鳴り散らして
俺には良かった…良かったって言ってすっごい力で抱きしめられた。
普通は安心するところなんだろうけど
俺は抱きしめられながらも
ずっと樹の方見てたんだ。
樹はずっと真顔だった。
それ見て俺
全部終わっちゃうって思って
辛かったんだ
今までで1番辛いと思った｣
きっと田中樹も
いつの間にか松村くんの存在が大きくなってたんだと思う。
田中樹が元々好意を持っていて
彼を軟禁したのかはわからない。
でも松村くんと同じように
田中樹も彼にきっと溺れてた。
多分握っていた手首を離したのは
松村くんのことを思ってのことだったと
そう思わざる得なかった。
｢今まで俺に話してくれたことジェシーにも話した？｣
｢大体は話したよ。
でもここまで話したのは先生がはじめて。
ジェシーには大体話したんだけど
本当に過剰っていうか
千葉から出るとか一緒に暮すとか言い出すし、本当に心配性なとこあって、俺のことでいっぱいいっぱいになるまで頑張ってくれちゃうから、なかなか全部言いずらくて｣
｢そっか…ジェシーらしいな｣
｢なんか話し過ぎた｣
｢俺の腕がいいんじゃない？
だてに講師とかやってないからね｣
笑うまではいかないが
少し松村くんの表情が柔らかくなったことに
俺は安堵して、もうすっかり冷めきっているコーヒーを口にした。
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あーちゃん(プロフ) - くれよんさん» 読んでくださったんですか！ありがとうございます( ; ; )そんなお褒めの言葉恐れ多いです！お互い頑張りましょうね。ありがとうございます♪ (2020年5月16日 0時) (
レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - あーちゃんさん» コメントありがとうございます!活動を始めたばかりで、不安なことも多かったので、コメント頂けて嬉しいです(;_;)勝手ながら作品も拝見させて頂きました。私にはない表現力に圧倒されて、私も頑張ろうと思えました!大変なこともあると思いますが、私も応援しています! (2020年5月16日 0時) (レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - はじめまして。私も創作活動をしており、先日フォロワーさんに教えていただき、一気に読了しました！末ズの優しさが際立っていて素敵です！黒と青の関係、続きが気になります…更新頑張ってください！応援してます(^^) (2020年5月15日 22時) (レス) id: 2a9750e174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年5月8日 1時
