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｢改まってどうしたの？｣
人気のないスタジオ裏で、俺と北斗は不自然な距離を保って立っていた。
不自然と思いながらも、このうるさいくらいに響く鼓動を聞かれる心配がないと、少し安堵していた。
｢ごめんなんか驚かしちゃって｣
｢それはいいけどさ。なんか変に緊張するから、早く言ってよ｣
有難いことに容姿に恵まれ、今まで女の子から何度もこんなシチュエーションで告白をされた。だからこの先の展開を、どうすればいいのか今になって考えて始めていた。
完全に思考が止まった俺の頭は、なんの意味も成してなかった。
｢好きなんだよね｣
結局そんな本能的で単純な言葉しか出てこなかった。
｢え？｣
北斗の眉間にはシワが寄って、表情は歪んだ。
彼のこんな表情は初めてだ。
｢好きなんだよ。恋愛的な意味で｣
そう続けると、北斗の表情はさらに歪んだ。
何も言わないまま、ただただその表情だけをこちらに向けていた。
その後は無言の時間だけが流れた。
その無言に耐えられなくなったのは、その無言の時間を作り出した俺の方だった。
｢だから…｣
でも続ける言葉が見つからない。だからどうしたかったのかと聞かれれば、俺自身どうしたかったのかわかっていなかった。
手に入れたい
その言葉の意味がわかっていなかった。
｢わかってると思うけど、俺男だよ？｣
そう言われて気づいた。異性の壁すら忘れるほど、俺は彼に魅力されていたことに。
｢だから？｣
｢だからって…京本ほんとどうしちゃったの？｣
俺は訳もわからず苛立っていた。
焦りは苛立ちを彷彿させて、さらに北斗に正論を言われ、苛立ちをヒートアップさせていた。
｢わかんねーよ俺だって!｣
糸が切れたように、俺は怒鳴り、否ほぼ叫んでいた。ここからはほとんど無意識だ。
不自然だった俺らの距離を一気に詰めて、俺は北斗の腕を取った。北斗は俺よりも遥かに身長が高い。だから勢いに任せて腕を引き、顔を近づけて、気がついたらキスをしていた。
俺と比べれば、体格も筋力も桁違い。
引き寄せていた手はすぐに払い下ろされ、あれだけ近かった距離は一気に離れた。
そしてすぐに目が合った。
冷ややかで、明らかに軽蔑するような眼差し。
そして言ったか言ってないか分からない程ほど小さな声で彼は呟いた。
けれどそんな小さな声は、俺の耳に刺すように聞こえてきた。
｢気持ち悪っ…｣
俺はただ焦っていた。
焦ってしまった。
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くれよん(プロフ) - きょも担さん» コメントありがとうございます！がんばります！ (2020年6月3日 16時) (
レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
きょも担 - おもしろかったです！これからもがんばってください！ (2020年6月2日 18時) (レス) id: 7bd19fe3fc (このIDを非表示/違反報告)
くれよん(プロフ) - 腐女子ちゃんさん» コメントありがとうございます！頑張ります！ (2020年4月24日 19時) (レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子ちゃん - 面白いです！これからも更新頑張ってください（≧∇≦） (2020年4月24日 15時) (レス) id: 7a4cdc3ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年4月22日 3時
