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「…………別に止めなくてもよくないスか？」
「え？」
「幼馴染だからと言って、オレにフランの行動を制限する権利はないスよ。『好きだから』って感情も、なんでもかんでも首を突っ込める特権ってわけじゃないんスから」
少し、ほんの少しだけ寂しい顔をしたラギー先輩。なにかを思い詰めてるようにも見えたし、なにかを悔やんでいるようにも見えた。しかしそれは一瞬だけで、また意地悪な笑顔を浮かべて『もしかして、揺さぶろうとしてるスかぁ？』と笑う。
「な！別に揺さぶろうって意味で言ったわけじゃ……」
「わかってるスよ〜。だってめっちゃ誘導下手だったし」
「へ、下手ですか？」
『下手』と言われて若干凹む……。純粋な疑問ではあったが、マイナスなことを言われるとやっぱりなんか凹む。
「シシシッ！こちとらフランの幼馴染ッスよ？簡単な口車に乗せられるわけねえッスよ」
『残念だったスね〜』と頭をポンポンと叩かれる。年柄もなく撫でられるなんていつもなら照れているが、明らかに小馬鹿にされているため照れるどころか少し怒りが湧いてくる。でもまあ確かに口の上手い幼馴染と一緒に過ごしていたようじゃ、簡単なことでは靡かないですよね…。
「とういうか、なんでユウくんはそんなにフランを引き込みたいんスか？」
「え？なんでって……」
「基本的にフランはよっぽどのことがない限り、自分から人と関わろうとはしないッス。今回のことも避けて通れる道の筈ッスよ」
「…………」
確かに、なんで僕はこんなにフラン先輩を味方につけたがっているのだろうか？仲間になれば心強いだろうが、相手にいたとしても僕から行かなきゃもう彼の役目は終わっている。しかし思考のどこかでフラン先輩のことが気になっている自分がいる……。
「…やられてんな」
「レオナ先輩、やられてるって……？」
「大方魔力増幅薬でも飲んでたんだろうな。ユウ、お前はキツネのユニーク魔法にかけられてんだ」
「「「！？」」」
「でも、ユウから魔力の匂いは…」
「当たり前だ。今コイツの中にあんのは僅かな魔法の残骸。だがソレですらこれ程の力を持ってんだ」
「……さっき『よっぽどの事がないとフランは自分からこない』って言ったスけど、今回は気をつけた方がいいッスよユウくん」
──なにか仕掛けてくる気っぽいスから。
第十四話【失敗プログラム】※9/15修正→←第十三話【残骸トラップ】
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作者名：白黒-モノクロ- x他1人 | 作成日時：2022年9月2日 22時
