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「……フラン?」
「はぁ……はぁっう……───っ」
「!!(副作用……違う、トラウマの方だ!)」
ゼーゼーと呼吸にならない呼吸を続けるフラン。胸元をシャツがシワだらけになるほど握りしめる。この場の全員がアズールに注目をしているなか、その異変に気づいているのはラギーだけしかいない。
「フラン……フラン、大丈夫ッス」
「っぐ……はぁ……はぁ」
いつものように優しく声をかけて意識を集中させようとする。しかし今回ばかりはラギーがどれだけ声をかけようと治まらない過呼吸。これ以上この状態が続けば意識を失いかねない。
「……〜っクソ。あん時の仕返しッスからね」
「はぁ…んぐっ!?」
グイッとフランの顔を引き寄せる。そして、ラギーはフランと唇を合わせた。レオナが暴走した時とは逆の立場で、ラギーたちは二度目の口付けを交わす。キスと呼べるような余裕も可愛らしさもないが、想い人の顔がゼロ距離にあるのは小っ恥ずかしい。
「〜〜〜!!(ラギー先輩!?なにしてんの!?)」
それをたまたま目撃してしまったユウ。ラギーに抱きしめられていたせいでフランの様態は全く知らなかったため、突然二人がキスをしているようにしか見えない。
「っ〜〜はぁっ……はぁ……ラギーぃ」
「っはぁ……落ち着いたッスか?」
「……ん」
酸素を吸ってばかりだった呼吸が、吐くことを覚えてようやく整う。まだボーッとはしているが幾分かはマシになっただろう。
しかしそのキスを見ていた者がもう一人。
「───っ!あ〜〜〜〜〜〜、そうですか。どうせ僕は一人じゃなにも出来ないグズでノロマなタコ野郎ですよ。だからもっとマシな僕になるためにみんなの力を奪ってやるんです。美しい歌声も、強力な魔法も、全部僕のものだ!寄越しなさい、全てを!」
その言葉と共に溢れ出す黒いオーラ。それは墨にも似た、インクのような、真っ黒なブロットだ。通常、ある程度のブロットは魔法石が受け止めてくれる。しかし体の外へ溢れだしているということは、魔法石の許容量を超えたということ。つまり、
「オーバーブロットしてしまう!」
「あーっはっは!あーーーっはっはっは!」
アズールの姿が、ブロットに包まれた。
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過呼吸の人にチューとか絶対ダメですからね
作者はラギーたちにチューさせたかったからだけですから
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作者名:白黒-モノクロ- x他1人 | 作成日時:2022年9月2日 22時