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レオナの言葉に胸を撫で下ろすアズール。しかし、
「だが……。悪いが、その程度じゃこの契約書は返してやれそうにねぇなァ」
「……えっ？」
「俺はな、今、ユウに脅されてんだよ。契約書の破棄に協力者してくれなきゃ、毎日朝まで毛玉と一緒に部屋の前で大騒ぎしてやるってなァ」
写真を取りに行く前にユウとグリムの声が枯れていた理由。それは昨日の夜に騒ぐ様を実演して見せたからだった。おかげで両者共に寝不足、レオナも協力せざるを得なくなってしまったのだ。
「お前にオンボロ寮を取られちまったら俺が寝不足になっちまう。アイツらにサバナクローから出て行ってもらうためにも、
「まさか、そんなことで……！？」
今まで契約書を通して確実な取引をしてきたアズールにとって、たかが口約束のしょうもない対価でこの怠惰なライオンが動いたことに驚きを隠せない。それもアズールの魅力的な提案を捨ててまで。
「悪党として、ユウに一歩負けたな、アズール」
「う、うそだ……やめろ！」
契約書を持つ手に力が入る。
「──さあ、平伏しろ！『
「やめろおおおおおおおおおお！！！」
その瞬間、契約書が音を立ててレオナの指の隙間から流れていく。もはや紙だったかも断言することも出来なくなった、ただの黄金色の砂たち。それを為す術もなく眺めていたアズールは悲鳴にもならない声を情けなく発する。
「僕の、僕の『黄金の契約書』が……っ！全部、塵に……………っ！」
「アズールくんのユニーク魔法『
「わざわざ何度も破れないところを見せびらかし無敵だと印象付けていたが……。全てにおいて完全無欠な魔法なんかない。状況からみて、VIPルームの中、あるいはお前が手にしてる時だけ。無敵効果が付与されているんじゃないかと予想してたんだが──。俺の魔法で簡単に砂に変えられたところを見るとその読みは当たったらしいな」
「そ、そん……な……」
絶望するアズール。目の前でレオナとラギーが会話しているが、全く耳に入っていない。
「………あ………あぁ…………」
「ん？」
「ああ、ああああ……っ！」
アズールが短く息を吸う。そして、
「あ〜〜〜〜っ！！！もうやだ〜〜〜〜〜〜〜！！！」
「「！？」」
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作者名：白黒-モノクロ- x他1人 | 作成日時：2022年9月2日 22時
