Kitchen ページ8
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(side RED)
「ちゃう、そうじゃなくて、」
重「わからんって、ゆっくり言うてくれよ」
「だからそこでひっくり返して、」
重「むずいねん、飛んでいくわこんなん」
「いかへんって、」
なんか最初はイチャイチャ喋りながら作ってたのに、気付けばスパルタお料理教室になってて。
とはいえAが作る料理が食べたい俺と、作られへんけど食べさせたいAの気持ちが重なって、調理工程も終盤。
病院の面会帰りに寄ったスーパーでもあれが安いこれが新鮮だの俺に伝えてくれよったAは、自分が人から見えてへんことは忘れてしもてたらしく、俺が独り言防止にって返事せんかったら途中から拗ねてもうて。
食われへんのにご機嫌取りにカゴに入れたチョコレートは、ダイニングのテーブルに飾ってる。
重「あ、」
「そうそう、できた！すごーい！」
重「へへ、」
「すごいすごい！」
音の聞こえへん拍手でも喜びは充分に伝わってきて、満面の笑みを向けられた俺は純粋に喜びに溢れる。
俺お前に褒められんのほんま好きやねんなあ。
自分のことみたいに喜びながら抱きついてくるAを受け止めようと両手を空けて体を向ければ、伸ばされた腕も駆け寄る体も、全部が俺をすり抜けて。
同じタイミングで振り返って目線を合わしながら、やり切れへん悲しさに気分が沈んだ。
「…めっちゃいつも通り走っちゃった」
重「…いや、せやな、俺も、…うん」
「……、」
重「…飯、食おかな」
「あ、うん、上手に出来たし！」
ぱ、と明るく笑ってくれよるAが無理しとることは分かるんやけど、これ以上俺が沈んでも空気悪くしてまうだけやし。
…せめて、コイツがまだ傍におってくれて、それが見えてる今、なるべくいつも通りにしたくて。
重「でも俺さあ」
「うん？」
重「俺が作り出した妄想なんかなと思ってん」
「…私が？」
重「ん、お前がああなったことを受け入れたくない俺のエゴが塊になったんちゃうかって」
「うん、」
重「でも俺の知らんレシピ知ってるってことは、多分、幻覚ちゃうんやんな？」
「…たぶん、なぁ」
重「だってこれお前が作ったんと同じ味やもん」
「あ、そう？美味しい？」
重「おん、むちゃくちゃ」
「ふふ、良かったぁ」
笑うAはやっぱり幻覚には思えんくて、都合良すぎるんかなあと思いながらも、不安な思考回路に蓋をして優しく微笑みを返した。
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竜胆(プロフ) - ささん» ありがとうございます〜！とっても嬉しいです。完全なる見切り発車なもので過程もオチも何も、という状況ですが、楽しんで頂けるように精進致します。素敵なお言葉をありがとうございました、糧になります。 (7月13日 22時) (
レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さ - さあ、進もうよ、姫。毎日とっても楽しませてもらっています！コメントもマシュマロもやったことなかったのですが、全作品読んでます！いつもとってもおもしろいです！わすれないでいてねもとってもよかったので、toBE HAPpy !! も楽しみにしています！ (7月13日 21時) (レス) id: 56608c727e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年7月13日 18時
