sickroom ページ7
.
(side GREEN)
どうしても心配で。
仕事が終わったあと、少ししげと時間をずらして、しげの帰る頃に合うように病室に向かった。
2人の時間も必要やろうし、と思って。
でも扉の向こうからはいつも通りのしげの声が聞こえて、誰かと話してるらしかった。
優しい声は、Aに話すみたいな甘さで。
…お前それで看護師さんとかと喋ってたらAむっちゃ怒んで。
コン、コン、コン。
軽く鳴らしたノックにしげが緩く返事してくれて、少しの間を空けてから扉を開ける。
神「……あれ、1人？」
重「え？そうやけど」
神「…あ、そう、」
Aの病室やのに誰も入れへんて、って笑うけど、
自分、いま誰かと喋ってたよな？
しげの掌は、目を閉じたままのAの手をしっかりと握ってて。
…一方的にAに話しかけてたにしては、不自然に感じるくらいにナチュラルな会話に聞こえたけど。
神「…しげ、」
重「ん？…あっやば、スーパー閉まる」
神「スーパーって、…Aの傍居たらんでええん？」
重「ちゃうやん、だって怒りよるねんもん」
神「……怒るって、誰がやねん、」
重「そんなん、…」
神「…しげ、落ち着けって、なんかおかしいぞ」
重「…」
おかしないよ、俺は落ち着いてる。
妙に真面目な顔をして言うから、返す言葉がすぐに出てこんくて、そのまましげは病室を出た。
俺は落ち着いてる、か。
落ち着いてないのは多分俺で、でも落ち着いてくれと思ってしまうくらいしげの言動が想定外やねん。
長年連れ添ったメンバー相手に言いたくないけど、
おかしい、って思っちゃうくらい。
病室を出て、少し離れてからスマホを手に取った。
Aに聞かせるわけには、いかんから。
神「…もしもし、照史？」
桐『ん？どした、もんち』
神「しげなあ、…やっぱちょっと、…うん」
桐『…そっか、どうしたるのがええんかなぁ』
神「…かける言葉が出てこんかった、悔しいわ」
桐『俺だってその場におったら多分そうなるよ、明日また皆で話そう』
神「…ん」
通話を切って病室に戻れば、さっきと変わらず目を閉じたままの姫さんに、少しの罪悪感。
姫さんの好きな男のこと、訝しんでごめんな。
神「なあ、姫さん、しげのこと助けたって」
心の底から告げたって、応えが返ってくることは無い。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竜胆(プロフ) - ささん» ありがとうございます〜！とっても嬉しいです。完全なる見切り発車なもので過程もオチも何も、という状況ですが、楽しんで頂けるように精進致します。素敵なお言葉をありがとうございました、糧になります。 (7月13日 22時) (
レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さ - さあ、進もうよ、姫。毎日とっても楽しませてもらっています！コメントもマシュマロもやったことなかったのですが、全作品読んでます！いつもとってもおもしろいです！わすれないでいてねもとってもよかったので、toBE HAPpy !! も楽しみにしています！ (7月13日 21時) (レス) id: 56608c727e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竜胆 | 作成日時：2023年7月13日 18時
