→in fact ページ6
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(side RED)
「みて！壁すり抜けれる！」
その体での新発見を喜ぶAは、この現状に疑問や不安が無いわけないのに、俺が悲しまんように明るく努めてくれて。
ほんまやな、って笑えば自慢げな顔をしながらするりと壁の向こうに全身が消えたから、途端に胸がざわついて声を掛けた。
あかん、やっぱり、視界からおらんくなったら消えてまいそうで怖い。
「戻る時って、急に戻るんかな？」
重「…どうなんやろな」
「戻る時は目が覚めたときやったりして！」
重「アホ、ドラマの見すぎや」
「あはは、」
昼前、携帯のアラームが鳴って、仕事の時間を告げる。
この空間から出たくなくて、静かにアラームを切って知らん振りした。
「あ、今日仕事や」
重「…、そうやっけ」
「そうやん、メンバーと仕事やんか」
重「……俺ここにおる」
「あーかーん、みんな困る」
嫌や、おらへんなるかもせんのに。
目離したくないねん、瞬きさえ惜しいほど。
この時間がもし俺とお前に与えられた最後なんやとしたら、仕事に出たことを一生かけて後悔しそうで。
ぐずぐずと言い訳をつけてこの場から出ようとせえへん俺の背中をAが押して、でも押せへんくて俺の前にすり抜けて出てきた。
目の前でこけそうになっとるんが可愛くて、抱き締めたくて。
でも触られへんからどうしようもなく寂しくなる。
「仕事終わったら、病院まで逢いに来て」
重「…今から行ったらええやん」
「スーパーも行かなあかんやろ？冷蔵庫なんもないで」
重「飯なんか適当でええって」
「あかん、体調崩したらもう逢いに来たげへんから」
重「……そんなこと言うなや」
「ほら、行ってらっしゃい。またあとでね」
逢いに来たげへん、なんて言われたら、もう。
ぶすくれた顔で拗ねる俺にひらひらと手を振るAへと緩く手を振り返して、玄関の扉を閉めた。
そして、開いた楽屋の扉の向こう。
メンバーが集まるテーブルからちょこんと顔を出すAを見つけてもうて、思わず吹き出した。
あとでね、って、こういう事か。
メンバーと視線が合わへんことに気分を損ねてものすごい至近距離で淳太を見詰めるAに「こら、やめとけ」って笑えば、「独り言認定されるで」って言われて口を閉ざす。
ソファに腰を下ろせば、いつも通りAも隣に来るから、拗ねた横顔が可愛くて頬が緩んだ。
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竜胆(プロフ) - ささん» ありがとうございます〜！とっても嬉しいです。完全なる見切り発車なもので過程もオチも何も、という状況ですが、楽しんで頂けるように精進致します。素敵なお言葉をありがとうございました、糧になります。 (7月13日 22時) (
レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さ - さあ、進もうよ、姫。毎日とっても楽しませてもらっています！コメントもマシュマロもやったことなかったのですが、全作品読んでます！いつもとってもおもしろいです！わすれないでいてねもとってもよかったので、toBE HAPpy !! も楽しみにしています！ (7月13日 21時) (レス) id: 56608c727e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年7月13日 18時
