→that night ページ3
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(side RED)
重「……え、お前、どうなってるん、」
「わからへん、気付いたら帰ってきててん」
重「…………ちょ、病院、電話するわ」
もしかしたら、俺が帰ってきとる間に、最悪の事態に。
震える手で病院に電話するけど、さっき俺が傍にいた時の状態と特に変わりは無いらしくて。
病院との通話を切って、どくどくと響く心臓を押さえながら、目の前の彼女から目を離さんように見つめ続ける。
重「待って、俺ほんまに、わからん」
「うん、私もわからん」
重「…とりあえず、お前俺のどっか掴んどってくれ、おらんなりそうで怖い、」
「どうやったらおらんなるんか分からへんけど、」
…せやから、急におらんなりそうで怖いんやろが。
えー、どこにしよっかなあ、って呑気な彼女は俺の服の裾に手を伸ばして。
掴もうとした手は、音もなく俺の体をすり抜けるから、驚いたAは勢いよく手を引っ込めながら目を見開いて俺を見た。
「えっ」
重「…」
「いま、掴めへんくて、手、えっ」
重「……いや、」
「なんでしげちゃん透けてんの、変なん食べた？」
重「食うてへん、ちょっと落ち着け」
「まって、だっていま、」
重「…たぶん、透けとるんお前やろ」
自分より焦ってる人間を見ると妙に冷静になる、謎の現象。
さっきまであんなに呑気にしとったのに、異変を感じた途端に焦り出すから、俺の中の戸惑いよりも彼女の中の戸惑いが勝ったのが分かって思わず冷静になった。
ぐ、ぱ、と掌を握っては開いてを繰り返すAは、もう一度俺に触れようと手を伸ばして、そして失敗する。
「……さわれへん」
重「…せやな」
「……」
重「こら、」
「え、ほんまに触れへん」
重「…分かったから、じっとせえって」
すかすかと透ける手を俺の体で確かめたり、抱きつこうと飛び込んでは俺をすり抜けて背中側に行ってもうたり。
うろうろと俺の周りを動くのが見えるおかげで、無意識に伸ばした手が空を切った。
重「…俺の見えんとこ行かんといてくれ、」
「…しげちゃん」
重「…ん」
「しげちゃんに触って貰えへんの、イヤやなぁ」
重「…、」
私が触れへんのより、しげちゃんから触って貰えへんほうが寂しい、って泣きそうに笑うけど。
そっくりそのまま、お前に返すわ。
触れへんせいで、ほんまにここにおるんか、それとも俺が作り出した幻覚なんか、その区別さえつかへん。
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竜胆(プロフ) - ささん» ありがとうございます〜！とっても嬉しいです。完全なる見切り発車なもので過程もオチも何も、という状況ですが、楽しんで頂けるように精進致します。素敵なお言葉をありがとうございました、糧になります。 (7月13日 22時) (
レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
さ - さあ、進もうよ、姫。毎日とっても楽しませてもらっています！コメントもマシュマロもやったことなかったのですが、全作品読んでます！いつもとってもおもしろいです！わすれないでいてねもとってもよかったので、toBE HAPpy !! も楽しみにしています！ (7月13日 21時) (レス) id: 56608c727e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年7月13日 18時
